妖の王子さま
「ほんと?私、これから塾があるから、じゃあ先帰るね!」
「うん。ありがとう。また明日」
「うん。また明日!蒼子も早く帰らないと、雨に濡れて風邪ひくよ!」
「気を付ける!」
ゆかりに別れを告げ、今一度赤い斑点を見下ろす。
これは、血痕のようにも見える。
さっきの横切った物体だろうか。
もしかしたら、ケガをしていたのかもしれない。
犬、それとも猫・・・?
気になってしまった蒼子は、先ほどの物体が消えたほうへ顔をもたげた。
丘へ上がる一本道。
丘の方に逃げたんだろうか。
追ったところで、見つかるんだろうか。
わからないけど、放っておけないと思った。