妖の王子さま
「何事です!?」
部屋に入ってきたのは、多々良だ。
多々良は、室内の様子にハッと目を見張る。
「なぜ、お前・・・!」
痛みに悶絶している蒼子に、青ざめた顔で多々良が言った。
隠しておいたはずなのに。
なぜばれてしまったのか。
なぜ、ここにいるのだ。
「痺れるって、痛いの」
「いた、痛いに決まってるっ!」
「・・・ふぅん」
涙目で蒼子が訴えるが、白玖は興味なさげにつぶやいた。
「・・・ごめんね」
「え・・・?いや・・・、いいです」
あまりにサラッと謝られ、ついそう言ってしまった。
というよりも、本当にこの人は自由すぎると思った。