妖の王子さま
「・・・っ、白玖さま、これは・・・」
この娘を白玖から引き離すのは簡単だ。
白玖が誰かに執着することなどありえないのだから。
適当に説明して、連れ出してしまえばそれで済む話。
「蒼子、おれの部屋に置いといて」
「え・・・?」
「だしたらダメだよ」
白玖はそういうと、襖をあけ外に出て行こうとする。
今、なんと。
「今、何とおっしゃいました!?」
「・・・おれの枕」
ま、枕?
いったい、どういう事だ。
今まで、誰と一夜を過ごそうと、誰にすがられようと、興味を示さず自分から求めることなどなかったはずなのに。
なぜ、この娘だけ。
しかも、人間の娘なんかを。
力があるというだけで、人間を連れてきた自分の浅はかさを呪った。