妖の王子さま
「な、なにするんですか!」
「・・・まだ、汚れてるよ」
「た、タオルで拭きますから!!!」
さっきの多々良の言葉を思い出す。
白玖の考えていることはわからないと。
今、まさにその状況だ。
そもそも、多々良は同じ空間にいるのに、白玖の行動を止めることなく黙って見ている。
人間がどうのという位なら、止めるべきだと思うのに。
「一緒にお風呂でも入る?」
「はいりませんッ!」
「汚れたままでいるの?」
「そ、それは・・・」
いい加減お風呂に入りたいのは事実だ。
こちらに来てからお風呂に入っていない。
制服は血で汚れるたびに志多良が洗ってくれているが。
身体は拭く程度だ。
でも、白玖と一緒に入るのだけは嫌だ。
「多々良、湯の用意して」
「・・・はっ」
多々良も、なにも言わずすんなり頷いた。