妖の王子さま
「あの、尻尾って・・・」
「?普段は邪魔だから消してる」
「そんなことできるんだ・・・」
じゃあ、なんで耳はそのままなんだろう。
「耳は、めんどくさいから」
理由はなんとも単純だった。
「でも、なんで知ってる?」
「え?」
「尻尾が出てる時の姿、蒼子見たことない」
「あ・・・」
そういえばと思う。
白玖は、自分が白玖の傷を治しているということを知らないのだ。
決まって気を失って眠っているし、多々良も初めの頃は自分の存在すら隠していたのだから。
蒼子が白玖の側で生活するようになってからは怪我をして帰ってくることもなかったのだ。
「あ、あの・・・。どこでだったかな?見たような気がして」
「ふぅん」
それ以上聞いては来なかった。
なんとなく、それは気づいていた。
白玖はあまり物事に興味がないのではないかと。