妖の王子さま
「百面相とは、器用ですね」
「あ、あの・・・。妖怪って、人を食べるの?」
「はい?・・・ああ、まぁ、そういう輩もいますがね」
さらに顔を青ざめる蒼子に、多々良は怪訝そうに眉を顰めた。
「それが何か?」
「あ、の。じゃあ白玖も?」
「白玖さまです。白玖さまをそのような野蛮な輩と一緒にしないでいただきたい」
きっぱりと言われホッとするが、じゃあなんであんなことを言ったのかと疑問に思う。
もしかして、からかわれたのだろうか?
冗談なんて言いそうにないのに。
「ていうか、私を着替えさせてここに運んだのって・・・」
「白玖さまに決まっているでしょう」
布団に突っ伏す。
結局、裸を見られてしまったなんて。
蒼子の心には、後悔の渦が立ち込める。
「紅くなったり青くなったり、忙しい人ですね、あなたは」
多々良は呆れたように言った。