妖の王子さま
気持ちの変化
「蒼子は、おれの枕なんだから、勝手にいなくなったらダメ」
「・・・ごめんなさい」
座り込んだ白玖に抱きしめられながら、蒼子はグルグルする頭を必死で抑えていた。
まるで子どものようだと思う。
「蒼子?」
「・・・はい?」
抱きついていた体を離し蒼子を見上げる。
白玖の大きな手が蒼子の頬に触れた。
「顔色、悪い」
「え・・・?あ、働いたから・・・疲れたのかな」
誤魔化すようにそう言って笑う。
どうしてここまで必死に隠し通しているんだろう。
言ってしまえばいいのに。
あんたのせいで、自分はこんな目に遭っているのだと。
今だって、本当は起き上がっているだけでも苦しい。
そう言って責めることだってできるのに。
「蒼子?しんどいの?」
酷く冷たい瞳の色。
それなのに、純粋で綺麗で。