妖の王子さま
「やっ・・・」
蒼子が声をあげ身を隠そうとするが白玖の力に阻まれる。
露わになる胸元。
恥ずかしさに顔をそらした。
白玖の顔が首元に伸び、伸ばした舌に肩口を舐めあげられる。
ビクッとした体。
あがりそうになる声を、必死で噛み殺した。
「これは、なに?」
「ッ・・・え?」
胸元から顔をあげ、上目づかいに見てくる白玖に心臓は跳ね上がる。
少しずらした身体から、赤くついた線が見えた。
「あ・・・」
白玖の身体から移した傷。
この傷だけは深くて治りが遅かった。
ほとんど消えた傷だったが、まだ少しだけその痕が残ってしまっていたんだ。
「これは・・・」
「おれが怪我したところと同じ場所」
白玖の指がその痕をなぞっていく。
顔を赤らめ、ギュッと目を閉じた。