妖の王子さま
「蒼子!」
白玖が出て行ったことに気づいてやってきた志多良が倒れていた蒼子を抱き起した。
「志多良・・・」
「白玖さまが、部屋から出て行かれたから・・・」
涙を流す蒼子に、志多良は戸惑いながら見つめる。
溢れる涙を拭いもせず、ポロポロと涙を零していく蒼子。
「蒼子・・・?どうしたの?白玖さまとなんかあったの?」
志多良の言葉に、首を横に振る蒼子。
「わからないの・・・っ、自分の気持ち・・・、自分がどうしたいのかっ・・・」
「わからない・・・?ねぇ、蒼子、どうしたんだよ・・・」
「なんで・・・こんなに胸が苦しいの・・・?」
望んでいるはずの未来と、自分がしている行動がかみ合わない。
ちぐはぐな自分に混乱する。
どうして、こんなにも涙が溢れるんだろう。