妖の王子さま
「蒼子さん!急いできてください!」
突然開かれた襖。
多々良が焦った様子で飛び込んできた。
「どうし・・・」
「白玖さまが、奇襲に!」
「え・・・」
「鬼からの奇襲を受け、ケガを負われました!」
多々良の言葉に青くなり、立ち上がった蒼子。
この間、天狗と戦いになったばかりなのに。
今度は鬼なんて・・・。
蒼子は震える身体をどうにか押しとどめた。
「白玖のところに連れて行ってください」
自分の気持ちはわからない。
でも、それでも、傷ついた人を放っておけない。
そして、それが白玖のためなのなら―――――――
蒼子は、白玖の元へと急いだ。