妖の王子さま



「は・・・く・・・?」

「・・・なに?」



震える唇で白玖を呼ぶと、すぐに表情は元に戻りやる気なく呟いた。
さっきのは、なんだったんだろう。





「・・・蒼子、お腹すいた?多々良がご飯用意しておくって言ってた」

「あ・・・、うん・・・」



言われてみればと頷いた。
白玖に手をひかれ身体を起こす。
見れば腕だけではなく体中に不器用に包帯が巻かれていた。



「あの、この包帯って・・・」

「おれが巻いた」

「・・・え!?白玖が!?」

「うん」




なぜ白玖が。
驚いた表情を見せた蒼子だったが、次の瞬間には顔を赤く染め上げた。




「じゃ、じゃあ、見た!?は、裸、見たの!?」

「・・・見ないと巻けない」




サラリと言いのける白玖に、布団を頭からかぶって隠れる。
見られた!
見られた!

いや、初めてではないけれど。
お風呂でだって・・・と頭の中でぐるぐると思いを巡らせる。




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