妖の王子さま
「蒼子。出てこないとご飯食べれない」
「~っ!!」
「蒼子」
白玖は、なんとも思っていない。
蒼子を呼ぶ声がすべてを物語っていた。
テンパって慌てて動揺しているのは蒼子一人なのだ。
「少しは動揺したって・・・」
いいのに・・・。
と呟く。
反応がなければないで気に入らなかった。
「おれの部屋に戻るよ」
そう言って手をひかれ、初めて気づいた。
ここはいつも白玖が怪我した時に運ばれる部屋のままだったのだと。
あの部屋で、白玖はずっと側にいてくれたのだと知った。
「蒼子!!白玖さま!」
志多良が声をあげ泣き出しそうな顔で走ってくる。
慌てた様子に首を傾げた蒼子は抱きついてきた志多良を受け止めた。