妖の王子さま
「え・・・?」
「お前は、すぐに泣く。なぜだ」
どう答えていいものか、迷った。
その答えは、自分自身さえよくわかっていないのだから。
「それは・・・、私にも、よく・・・」
そう、答えるしかなかった。
適当に堪えてしまえばよかったのかもしれない。
当たり障りのない回答を。
それでも、せっかく興味を示しているのに、嘘を教えるのはためらわれた。
「・・・ふぅん」
いつもの言葉。
興味がそがれたことを知らせる。
蒼子は、肩を落とし小さく息を吐いた。
「人間は・・・よくわからん」
白玖は一言そう言った後、部屋までずっと黙り込んだままだった。