子犬物語。
メロンが外の世界ではじめて会ったのは、仲間であるはずの犬だった。
しかし、それはあまり食料にありつけず、常に飢え、食べる物を求めてさまよう野犬だった。
野犬の目は久しぶりの上等なご馳走を前に飢えたギラギラと不気味に輝いている。
「は、離して、痛い……!」
噛まれた場所が痛かった。熱かった。
「久しぶりのやわらかい上質な獲物だ。逃がすものか。俺様に食べられることをありがたく思え!」
下卑た笑いを浮かべ、メロンの首をくわえ込んだまま頭を振り出した。メロンが宙に浮かび、牙がより深く皮膚の中に突き刺さる。
ポタッ。
ポタ……。
噛まれたそこから熱いものが流れ始める。それは赤く、飢えているものにはたまらなく甘い匂いだった。
「お願い……離して、食べないで……」
痛みにより次第に目がかすんでいく。
気が、遠くなっていく。
ぼくはこのまま……本当に食べられちゃうんだろうか……いやだよ、そんなの。ぼくはまだ、何も知らない。まだ何もしていないんだ。こんなふうに終わっちゃうなんて悔しいよ……。
ママ、助けて……誰か、誰か助けて……!!
「あばよ」
喉を鳴らせて野犬がいやらしく笑った。
しかし、それはあまり食料にありつけず、常に飢え、食べる物を求めてさまよう野犬だった。
野犬の目は久しぶりの上等なご馳走を前に飢えたギラギラと不気味に輝いている。
「は、離して、痛い……!」
噛まれた場所が痛かった。熱かった。
「久しぶりのやわらかい上質な獲物だ。逃がすものか。俺様に食べられることをありがたく思え!」
下卑た笑いを浮かべ、メロンの首をくわえ込んだまま頭を振り出した。メロンが宙に浮かび、牙がより深く皮膚の中に突き刺さる。
ポタッ。
ポタ……。
噛まれたそこから熱いものが流れ始める。それは赤く、飢えているものにはたまらなく甘い匂いだった。
「お願い……離して、食べないで……」
痛みにより次第に目がかすんでいく。
気が、遠くなっていく。
ぼくはこのまま……本当に食べられちゃうんだろうか……いやだよ、そんなの。ぼくはまだ、何も知らない。まだ何もしていないんだ。こんなふうに終わっちゃうなんて悔しいよ……。
ママ、助けて……誰か、誰か助けて……!!
「あばよ」
喉を鳴らせて野犬がいやらしく笑った。