子犬物語。
言葉もなく意識が遠のいていくメロン。とどめを刺そうと前足でメロンを押さえ込む野犬。その時、二匹の前に茶色い閃光が現れた。それは野犬に飛び掛る。
「グウッ」
低いうめきとともに野犬の牙が離れた。自由の身になったものの、体に力の入らないメロンはその場に崩れ落ちるように倒れこむ。
「共食いはいけないんじゃないかい!? 兄さんよぉ」
日の光を背に受けた、茶色い閃光の主が言う。
大事な食事の時間を邪魔され、不機嫌を露にした野犬が叫ぶ。
「なんだお前はっ」
「猫でーす」
相手の怒りを買いかねない、のんきな口調。死の淵にいたメロンを助けたのは茶と白の縞模様の猫だった。今も倒れこんで意識を朦朧とさせているメロンをかばうように、野犬との間に割って入っている。
「俺様の獲物を横取りする気か!?」
怒り新たに、低く唸り声を上げ身構える野犬。
つい先ほどまであの鋭い牙の餌食になっていた自分を思い出し、恐怖にメロンが体を震わせる。首の痛みが現実に起きたことだということを告げていた。
熱く疼く首の傷口。今も足はすくんだまま動くことも出来ない。
「へっ犬っころなんて食うかよ! ったく、共食いしようとしている奴の気が知れないね。あぁあ、これだから野犬っつーのは嫌いだよ」
野犬が身構える一方で、猫のほうは余裕綽々、相手を挑発するかのようにその場に座り込み、後ろ足で耳を掻いている。
「お前、かぁーちゃんに腹が空いたら共食いでもしろと教えてもらったのかい!? んー? 俺は平気で自然の掟を破るような奴を黙ってみてられねーんだよ!」
後半、苛立たしげに話し終えると、猫のほうも戦闘体勢に入る。背中の毛を逆立てて、自分よりも3倍ほど大きい野犬に威嚇を始めた。
「ウゥゥゥゥ」
「フーッ」
しばらくの間にらみ合いが続く。
メロンははじめて見る緊迫した光景を目の前に、ただただうろたえ見守ることしか出来ないでいた……。
「グウッ」
低いうめきとともに野犬の牙が離れた。自由の身になったものの、体に力の入らないメロンはその場に崩れ落ちるように倒れこむ。
「共食いはいけないんじゃないかい!? 兄さんよぉ」
日の光を背に受けた、茶色い閃光の主が言う。
大事な食事の時間を邪魔され、不機嫌を露にした野犬が叫ぶ。
「なんだお前はっ」
「猫でーす」
相手の怒りを買いかねない、のんきな口調。死の淵にいたメロンを助けたのは茶と白の縞模様の猫だった。今も倒れこんで意識を朦朧とさせているメロンをかばうように、野犬との間に割って入っている。
「俺様の獲物を横取りする気か!?」
怒り新たに、低く唸り声を上げ身構える野犬。
つい先ほどまであの鋭い牙の餌食になっていた自分を思い出し、恐怖にメロンが体を震わせる。首の痛みが現実に起きたことだということを告げていた。
熱く疼く首の傷口。今も足はすくんだまま動くことも出来ない。
「へっ犬っころなんて食うかよ! ったく、共食いしようとしている奴の気が知れないね。あぁあ、これだから野犬っつーのは嫌いだよ」
野犬が身構える一方で、猫のほうは余裕綽々、相手を挑発するかのようにその場に座り込み、後ろ足で耳を掻いている。
「お前、かぁーちゃんに腹が空いたら共食いでもしろと教えてもらったのかい!? んー? 俺は平気で自然の掟を破るような奴を黙ってみてられねーんだよ!」
後半、苛立たしげに話し終えると、猫のほうも戦闘体勢に入る。背中の毛を逆立てて、自分よりも3倍ほど大きい野犬に威嚇を始めた。
「ウゥゥゥゥ」
「フーッ」
しばらくの間にらみ合いが続く。
メロンははじめて見る緊迫した光景を目の前に、ただただうろたえ見守ることしか出来ないでいた……。