桜の一匹狼
「なに見てんだよ」
低い声がして、はっとする。
気がつけば、彼の視線が私に向けられている。
気付かれた…!
「ご、ごめんなさい……っ」
見ていることがばれて、恥ずかしいような、怖いような気持ちになる。
慌てて、目をそらすと、逃げるように背を向けてかけだした。
すぐそばの公園の中に駆け込んでから大きく息を吐く。
「びっくりした」
まるで私と違う世界にいるみたいに見えたから、気付かれるなんて思ってもいなかった。