桜の一匹狼
人を寄せ付けない雰囲気の彼を、キッとにらみつける。


「あのっ」



「うるせぇ。ちかよんな、クソガキが」


低い声で、吐き捨てるようにつぶやかれた言葉。
びくりと反射的に体が震える。


怖い。


でも、だって、……ほっとけないよ………。



手が少し震えている。
でも、がんばって、差しのべる。



「傷、ちゃんときれいにしておいたほうが、いいと思います」



震える声で、やっと言いたかったことを言う。

さっき公園で濡らしてきたハンドタオル。


「使ってください」


近寄って、彼の手に届くぐらいのところで、真っ直ぐに彼を見た。

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