私は、生きてる。
零
「もう、疲れたな…」
家から程近い灯台の傍で片足を立てて座りながら呟いた。
色々、ありすぎた。
この数年、本当に疲れた。
生きることさえ、疲れてしまった。
昔はこんなんじゃなかった筈なのに…。
「こっから落ちたら楽になるかな…」
絶壁に立つ灯台は少し歩けば海に落ちる。
落ちればまず助からないだろう。
気づけば立ち上がっていた。
「あー…海って綺麗だな…」
少しずつ進んでいく足。
少しずつ海に埋まる視界。
少しずつ大きくなる波の音。