私は、生きてる。
「いい、ゆっくりでいい。
俺の方こそごめん。
なつめのこと、わかってるのに焦らせた」
シロは切なげに柳眉を歪ませてあたしを優しく抱きしめた。
シロは暖かい。
手も、体も、心も、すべて。
なにもかもが暖かくて、なにもかもが優しい。
シロにこうされると、とても安心する。
「あぁっ!おいシロ抜け駆けすんな!」
シロに身を委ねていると、ユウのそんな声とともにシロの腕からユウの腕へと移動させられた。
「ユウこそどさくさに紛れてなに抱きしめてんのさ!」
そして今度はユウの腕から亜稀の腕へ。
「亜稀ひどい!!」
「ユウも亜稀もふざけんな」
今度は亜稀の腕から、ユウに被せるように言った十流の腕へ。
……そろそろウザい。
苛々しだしたあたしに気づいてか、あたしの取り合いを始める三人をシロが止めると同時に柊があたしを避難させた。
「ありがと、柊」
「いえいえ~。しかしまぁこいつらのなつめ好きにも困ったもんだね」
三人を止めていた筈のシロも、何故そうなったのか喧嘩に加わり、取っ組み合いが始まってしまった。
「困ったもんだね」
柊の真似をして言ってみると、明らかに頬をひくつかせて笑う柊と目が合った。