私は、生きてる。





「助けて…助けてくれ…」




誰にも聞き取れないような小さな、小さな声。




バイクの音に掻き消されて自分の耳でもやっと聞き取れた程度。




伸ばした手はゆっくりと降りていき、力を失くした身体は崩れ落ちた。




「は…助けてくれる筈、ないのにな…なに言ってんだろ…」




わかっているのに、頭では理解しているのに


心は理解してくれない。




涙は溢れて止まらない。






「おい」




考えることも

聞くことも

見ることも

動くことも





すべてを放棄したあたしはただ座り込んでいた。




呼び掛ける声は聞こえない。




「おい」




それでも呼び掛ける声。




肩を優しく揺すられ、焦点の定まらない目でゆっくり上向く。




< 4 / 17 >

この作品をシェア

pagetop