私は、生きてる。
「助けて…助けてくれ…」
誰にも聞き取れないような小さな、小さな声。
バイクの音に掻き消されて自分の耳でもやっと聞き取れた程度。
伸ばした手はゆっくりと降りていき、力を失くした身体は崩れ落ちた。
「は…助けてくれる筈、ないのにな…なに言ってんだろ…」
わかっているのに、頭では理解しているのに
心は理解してくれない。
涙は溢れて止まらない。
「おい」
考えることも
聞くことも
見ることも
動くことも
すべてを放棄したあたしはただ座り込んでいた。
呼び掛ける声は聞こえない。
「おい」
それでも呼び掛ける声。
肩を優しく揺すられ、焦点の定まらない目でゆっくり上向く。