覇狼



『まぁ、小学生のころよ、イジメられてたんだよ、呉葉。中心になってたのは宮野莉子だ。』


麻「それ………知ってるかも………」


『同じ学校だったらな?みんな知ってんじゃねぇか?まぁ、呉葉のことだからよ?毅一達に迷惑かけらんねぇって、誰にも言わずに耐えてたわけだ。』



『最初はガキくせぇことばっかだったんだぜ?靴無くなるとか、教科書に落書きされてたりとかな?だけど、あまりにも反応のない呉葉に腹立ったんだろうな………最後の方酷かったんだ。』



葉「それって………どんな………?」



『………体育館の倉庫に………閉じ込められて……………高校生くらいの男に、さ…………』



パリンッ


ガラスの割れる音。



屋上のドアに、隠しきれてない殺気を感じる。



『なんだよ、お前ら。出てこいよ』



毅「今の……なんだよ………」


健「聞いてねぇぞ。」





そんなこと言われたってよ…………



誰にも言うなって言われたし。




『ハジマリは呉葉の持ってる傷だ。ただ気味悪がった奴らが始めた。その中心が莉子だったわけだ。』


麻「………………」



『すげぇよ、呉葉。小学校の3年間、ずっと我慢してたんだ。俺が生まれたのはその、最後の方。男にマワされて、ぶっ壊れた呉葉の精神を保つために。それ以来、ずっと俺が返り討ちにしてた。』




毅「そんなこと………一言も……」



泣くなよ、毅一。


お前、男だろ。



健「………………」



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