覇狼
私はずっと、日本中をうろつきながら、弟を探していた。
昔、離れ離れになった、たった一人の家族を。
まぁ、私を覚えてくれてるかはわからないけど。
せっかく、歩きまわったのにも関わらず、弟が引き取られたのは私が育った町のすぐ隣だった。
おかげでまた戻ってきたというわけ。
『そういえば教室は?担任は?』
「……忘れてた…。」
慌てて、バタバタするきーちゃんを見つめながら、温かいココアに口をつけた。
きーちゃんがなんかの放送を入れると、遠くから走ってくる音が聞こえる。
尋常じゃないほど慌ててる気が………
なにかあったんだろうか。