Verbal Promise(口約束)~プロポーズは突然に~
「その条件も最初はふざけんなって思ったけど、年重ねていくうちにさ、我がままばっか言って困らせたなぁって思うようになって。一個くらい、聞いてやるかなって思ったんだ」
いや、でも納得いかないことはある。どうして……
「どうして私なの!?」
「だっておまえ結婚したがってたし。30歳までに結婚したかったんだろ?」
「今は別に……!」
「色んな女と付き合ったけどさ、向こうに連れて帰ろうって、毎日一緒にいたいって思う女はいなかった」
「し、知らないよそんなの……」
「でも川島はさ、しょっちゅう一緒にいて楽しいし、飽きないし、気心も知れてるし? いても邪魔にならないし、いなくなったらなったで寂しい。そんな存在じゃん」
「……ねぇ、本気で言ってる? その程度の軽い気持ちで結婚するなんて言って頭おかしいでしょ……!」
永瀬はこちらに視線を向けると「あぁ、その通りだ」としれっと答えた。そして伸びてきた手が私の肩を抱き引き寄せると「だからさ」と低い声で囁くような小声で言った。
「まだ時間はある。これからはじめない?」
「な、なにを……?」
恐る恐る目を合わせるとにこっと微笑んで「こ、い」とゆっくりとふざけた口調で言った。
きっと今、身体が小刻みに震えるのは、ふざけたこの男の態度に怒りが沸々とわき上がってきているからであって……
「この後、ウチ来いよ」
「行かないよ……!」
肩を抱く手を振り払ってそう答えると腕を掴まれて引かれた。抵抗しようとしてもびくともしなくて、せめて視線だけでも抵抗を見せようと強い視線で見上げた。でもそれ以上に深くて鋭い瞳に私の抵抗は一瞬にして怯む。
「逃げられるとでも思ってんの?」
目が本気(マジ)だ。本気で私と結婚するって言ってるの……?
え……でも。
「私の……気持ちはどうなるの?」
「うん。だから手っ取り早くヤっちゃえば何か気持ちが変わるかもしれない。お互いに」
「ふざけてる!」
私は力を込めて永瀬の手を振り払って立ち上がった。そして永瀬を見下ろし指を差して言った。
冗談じゃない! 誰が餌食になるもんか! 誰が……
「あんたと結婚なんかするものか!」
これから恋をはじめようだって?
間違っても、好きになったりしない!
30歳までに嫁を連れて帰る約束だって?
だったら、私は30歳になるまで逃げ切って見せる!
「……あのぉ、当店オススメ山盛りポテトお待たせしました~……そろそろ、いいでしょうかぁ……?」
ヒートアップする会話に夢中になる私たちが座るカップルシートの横には、気まずそうに待つ、出来上がった料理を順番に持って届けにきた店員の列が出来ていた。
いや、でも納得いかないことはある。どうして……
「どうして私なの!?」
「だっておまえ結婚したがってたし。30歳までに結婚したかったんだろ?」
「今は別に……!」
「色んな女と付き合ったけどさ、向こうに連れて帰ろうって、毎日一緒にいたいって思う女はいなかった」
「し、知らないよそんなの……」
「でも川島はさ、しょっちゅう一緒にいて楽しいし、飽きないし、気心も知れてるし? いても邪魔にならないし、いなくなったらなったで寂しい。そんな存在じゃん」
「……ねぇ、本気で言ってる? その程度の軽い気持ちで結婚するなんて言って頭おかしいでしょ……!」
永瀬はこちらに視線を向けると「あぁ、その通りだ」としれっと答えた。そして伸びてきた手が私の肩を抱き引き寄せると「だからさ」と低い声で囁くような小声で言った。
「まだ時間はある。これからはじめない?」
「な、なにを……?」
恐る恐る目を合わせるとにこっと微笑んで「こ、い」とゆっくりとふざけた口調で言った。
きっと今、身体が小刻みに震えるのは、ふざけたこの男の態度に怒りが沸々とわき上がってきているからであって……
「この後、ウチ来いよ」
「行かないよ……!」
肩を抱く手を振り払ってそう答えると腕を掴まれて引かれた。抵抗しようとしてもびくともしなくて、せめて視線だけでも抵抗を見せようと強い視線で見上げた。でもそれ以上に深くて鋭い瞳に私の抵抗は一瞬にして怯む。
「逃げられるとでも思ってんの?」
目が本気(マジ)だ。本気で私と結婚するって言ってるの……?
え……でも。
「私の……気持ちはどうなるの?」
「うん。だから手っ取り早くヤっちゃえば何か気持ちが変わるかもしれない。お互いに」
「ふざけてる!」
私は力を込めて永瀬の手を振り払って立ち上がった。そして永瀬を見下ろし指を差して言った。
冗談じゃない! 誰が餌食になるもんか! 誰が……
「あんたと結婚なんかするものか!」
これから恋をはじめようだって?
間違っても、好きになったりしない!
30歳までに嫁を連れて帰る約束だって?
だったら、私は30歳になるまで逃げ切って見せる!
「……あのぉ、当店オススメ山盛りポテトお待たせしました~……そろそろ、いいでしょうかぁ……?」
ヒートアップする会話に夢中になる私たちが座るカップルシートの横には、気まずそうに待つ、出来上がった料理を順番に持って届けにきた店員の列が出来ていた。