Verbal Promise(口約束)~プロポーズは突然に~
 次の日、室長に呼び出された。
 用件は予想通り。「昨日の返事、考えてくれた?」。昨日は家に帰ってからは頭の中はぐちゃぐちゃで、何も考えられなかった。
 だから今、正直な自分の気持ちは分からないし正しい判断が出来る自信はないけど、イエスかノー。大阪に行くか、行かないかはっきりさせなければならない。私は……

「大阪に行ってみようと思います」

 逃げてしまった。
 永瀬の気持ちも自分の中で変わりつつある感情も受け入れたくなかったのだと思う。
 大丈夫。
 仕事に没頭していれば、今このモヤモヤした気持ちに悩む暇もなくて気づけばいつも通りの自分に復活出来る。きっと、そう。

「そうか……残念だけど応援するよ。頑張ってね」
「はい」
「じゃあ早速なんだけど明日から大阪行ける?」
「え?」
「しばらくは新幹線通勤か、向こうでホテル暮らしか。引越しの手配も部屋の用意も全部こっちでするから」
「えぇっと……明日、ですか?」
「うん。明日から」

 …………ぇえ!?

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