Verbal Promise(口約束)~プロポーズは突然に~

13 熱いひと時 

 角度を変えて何度もキスを繰り返しながら靴を脱いで、部屋に上り込んだら足の力が抜けてなだれ込むようにその場に倒れこんだ。
 夜、部屋の明かりもつけず視界は暗くて、すぐにまた近づいてくる気配に瞳を閉じたら再び唇を塞がれた。もう少し行けばベッドがあるのに待ちきれないのは同じみたい。真夏の閉め切った部屋は茹だるような暑さだけど、そんなことも忘れて夢中でお互いに求め合う。
 長いキスから唇が解放されると、半袖カットソーを上に引き上げながら唇から頬、顎にかけて唇を這わせていく。

「……んっ!」

 鎖骨を舌でなぞられて何とも言えないゾクっとした感覚とくすぐったさに身を捩ると浮いた背中に滑り込んだ手にブラのホックをはずされた。

「は、恥ずかしいよ……っ、あんまり見ないで……!」
「暗くてよく見えねぇよ。手、どけろって」
「ま、待って……!」
「なんだよ」
「やさしく……してね」

 そうお願いする私の顔に汗で張り付いた髪を永瀬の指が撫でるように拭う。

「……おまえ、可愛いすぎ」
「や、やめてよ……こんな時にだけ……!」

 目を閉じて、永瀬のすべてを受け入れる。
 身体中が痺れて、震えて。とろけるほど熱いひと時。私たちの心と体がひとつになった。

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