Verbal Promise(口約束)~プロポーズは突然に~
 離れたら浮かれた気持ちが落ちつくのかと思いきや、別れてすぐはただただ永瀬への思いは強くなる一方で、大阪に帰って早速したことと言えばインターネットで旅館の女将の仕事についての検索。すぐには決心できないけど、会えない日々が続けば寂しくなって、「やってみなきゃ分かんない! なんとなかなる!」の精神で、また勢いで会社に退社を告げる日がくるだろう……と思っていたのだが。
 連休が明け出社した私を待っていたのは寂しさを感じる暇もない激務の日々。
 辛い、辞めたい。逃げ出したい。でも、今辞めたいと言っても本社に来てまだ日も浅い。根性のない女だと思われるのも癪だ。そしてふと思い出す永瀬のこと。でも今の仕事が辛くて嫌だからって結婚を逃げ道にするのも何かが違う気がする。結婚って、そんな軽い気持ちで決めるものじゃない。私もだいぶ成長したように思う。
 私は、永瀬への気持ちが増す一方で、日が経つにつれ冷静になって永瀬との結婚が決意出来ないでいた。そしてそのまま退社の意思を会社に伝えることが出来ないまま早いスピードで毎日が過ぎ去っていった。

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