Verbal Promise(口約束)~プロポーズは突然に~
秀則さんに連れられて着いた店は、オシャレで可愛い雰囲気で女性客が多く目につくカジュアルなイタリアンのお店。本人が好きでよく来るお店なのだそう。
席に案内されメニューに目を通していると秀則さんの方から会話をふってきた。この日まだほとんど会話らしい会話をしていなかった。
「川島さんって、想像してた人とだいぶイメージが違いました」
「イメージですか?」
「父から男性に囲まれても堂々としててしっかりした姉御肌の人だって聞いていて……」
「と、とんでもない……」
「でも実際は清楚な雰囲気で女性っぽく口数も少なくて……」
「……ガサツな男みたいな女だと思っていたということでしょうか……」
「ご、ごめんなさい! 失礼でしたよね!?」
「こ、こっちこそごめんなさい! そんなつもりでは……!」
同時に慌てふためく。ほぼ初対面の男性といきなり二人きり。どう接したらいいのかが分からない。
「実際の私は、実はすごい人見知りだししっかりなんかしてませんし……」
仕事に対してそこまで熱意があるわけでもないのに、社長の目に留まったのだと浮かれて、さらにその時の私情も挟んで勢いで本社に来てしまっただけ。今の部署に来てもやっていけてるのは運よくまた上司に恵まれただけで、そうじゃなかったらとっくに音を上げていた。
「良かったです」
秀則さんの声に反応して顔を上げると、控えめににこっと微笑んだ彼と目が合った。
「良かった? ……とは?」
私の問いかけに秀則さんは「いえ」と呟くように返事をすると口を閉ざした。微かに彼の頬が赤いように思えるのは気のせいだろうか。
その後、ごく普通に世間話でもしながら食事をして、彼に送ってもらいまっすぐ帰宅する。
今日は一体なんだったんだろう?
そんな疑問も一瞬。「まぁいっかぁ」と独り言をつぶやくとバスルームへ向かいいつもより長めにバスタブに浸かる。新しい部屋は前に住んでいた部屋よりバスタブが広くて快適なんだ。
お風呂を上がるとテーブルの上に置いた携帯が光っている。新着メール一件。相手は秀則さんだった。今日はありがとうございましたといった丁寧な内容のメールが絵文字つきで送られてきていた。携帯を再びテーブルに置いてテレビをつけた。そのままバラエティ番組に夢中になって、眠る前にふとメールの件を思い出してこちらこそありがとうございましたと返信をした。
目覚まし時計をセットしてベッドに入り、目を閉じたところで携帯が鳴った。秀則さんからの返信メールだった。内容はまた食事に行きましょうといったもの。単なる社交辞令に過ぎないと判断した私はそのメールには返信はせず眠りについた。
秀則さんとなぜか今日は一緒に食事をすることになったけど、もう会うこともないだろう。
……と、思ったのだけど。
翌日から、秀則さんからの怒涛のメール受信が始まったのだった。
席に案内されメニューに目を通していると秀則さんの方から会話をふってきた。この日まだほとんど会話らしい会話をしていなかった。
「川島さんって、想像してた人とだいぶイメージが違いました」
「イメージですか?」
「父から男性に囲まれても堂々としててしっかりした姉御肌の人だって聞いていて……」
「と、とんでもない……」
「でも実際は清楚な雰囲気で女性っぽく口数も少なくて……」
「……ガサツな男みたいな女だと思っていたということでしょうか……」
「ご、ごめんなさい! 失礼でしたよね!?」
「こ、こっちこそごめんなさい! そんなつもりでは……!」
同時に慌てふためく。ほぼ初対面の男性といきなり二人きり。どう接したらいいのかが分からない。
「実際の私は、実はすごい人見知りだししっかりなんかしてませんし……」
仕事に対してそこまで熱意があるわけでもないのに、社長の目に留まったのだと浮かれて、さらにその時の私情も挟んで勢いで本社に来てしまっただけ。今の部署に来てもやっていけてるのは運よくまた上司に恵まれただけで、そうじゃなかったらとっくに音を上げていた。
「良かったです」
秀則さんの声に反応して顔を上げると、控えめににこっと微笑んだ彼と目が合った。
「良かった? ……とは?」
私の問いかけに秀則さんは「いえ」と呟くように返事をすると口を閉ざした。微かに彼の頬が赤いように思えるのは気のせいだろうか。
その後、ごく普通に世間話でもしながら食事をして、彼に送ってもらいまっすぐ帰宅する。
今日は一体なんだったんだろう?
そんな疑問も一瞬。「まぁいっかぁ」と独り言をつぶやくとバスルームへ向かいいつもより長めにバスタブに浸かる。新しい部屋は前に住んでいた部屋よりバスタブが広くて快適なんだ。
お風呂を上がるとテーブルの上に置いた携帯が光っている。新着メール一件。相手は秀則さんだった。今日はありがとうございましたといった丁寧な内容のメールが絵文字つきで送られてきていた。携帯を再びテーブルに置いてテレビをつけた。そのままバラエティ番組に夢中になって、眠る前にふとメールの件を思い出してこちらこそありがとうございましたと返信をした。
目覚まし時計をセットしてベッドに入り、目を閉じたところで携帯が鳴った。秀則さんからの返信メールだった。内容はまた食事に行きましょうといったもの。単なる社交辞令に過ぎないと判断した私はそのメールには返信はせず眠りについた。
秀則さんとなぜか今日は一緒に食事をすることになったけど、もう会うこともないだろう。
……と、思ったのだけど。
翌日から、秀則さんからの怒涛のメール受信が始まったのだった。