Verbal Promise(口約束)~プロポーズは突然に~
「私の方こそごめん。何もないとはいえ、他の男の人と二人で会うとか非常識だった。反省してる」
「アイツ誰なの?」
「社長の息子。なぜだか突然メールのやりとりをすることになって……」
「……ふーん」

 顔を上げると永瀬が険しい顔をしていたけど、目を合わせたらすぐに柔らかな笑みを見せた。

「俺たちはもともとかなり気のしれた友達だったから、つまんないことで意地になって大事なことを言えなくなったり、その逆でズバズバ傷つけるようなことを言ったりすることもあると思う」
「……うん」
「お互いを。思いやる気持ちだけは大事にしないとな」
「うん」

 どきどきと、胸の鼓動が伝わってくる。それすら愛おしいと感じる。

「当たり前のことから。一からはじめていこう」
「うん……!」

 もう一度ぎゅっと抱きしめられたら自然と目頭が熱くなって顔を思い切り永瀬のシャツに押し付けた。
 離れたくない、今夜はこのままずっと一緒にいたい。ぎゅっと握りしめるように掴んだ永瀬の肩が小さく震えた。

「……っ。なぁ、いつまでノーパンでいんの?」
「笑わないでよ。誰よ脱がせたのは……!」
「履かせてやろっか」
「楽しそうに言わないで……自分で履く! それよりまず手、解いてよ……両手使えないの不便」

 ほどいて欲しくて背を向けると手首をこうそくしていたネクタイははずされた。そのまま後ろから包み込むように抱きしめられて耳元で「履く必要ないよ」と言われてすぐに反論する言葉が思い浮かばずこっそり頬を染めた。

「もう……!」

 照れ隠しに怒って見せて身体を捩って顔を後ろに向けると自然と合わさる唇。深く絡み合う甘いひと時にキスだけで頭がぼうっとしてくる。
 キスを繰り返しながら向かい合って、自由になった両手を伸ばしてぎゅっと抱きつく。同じように永瀬もぐっと私の腰を引き寄せる。
 永瀬は唇を合わせたまま、私の羽織っている薄手のカーディガンに手をかけた。彼に抱きつく両手をほどいて後ろにやると簡単にするりと床に落ちる。着ていた洋服も、下着もあっというまに取り払われて再び抱きしめあうとそのまま倒れこむようにベッドに沈んだ。

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