Verbal Promise(口約束)~プロポーズは突然に~
休み明け、私は秀則さんに謝罪のメールを送った。相変わらずすぐに返信が来て、気にしないで下さいの文面のあとにいつも通りの他愛のない内容のメールだった。なんとなく、私に気を使ってくれているような気がして彼の控えめな優しさを感じた。そしてそのまま少しずつ秀則さんからのメールの受信回数が減っていった。
数日後、いつもお昼はコンビニのお弁当やおにぎりで済ます私が珍しく社員食堂を利用した時だった。
「隣、いいかな」
聞き覚えのある声に顔を上げると杉浦さんが隣に座った。
「社食、よく利用するの?」
「いいえ。いつもはコンビニで済ませちゃいます」
「俺もあんまりこないんだけど、久々に来たら川島さんの姿が目に入ったから」
隣からの視線を感じるけど私はなかなか目を合わせられないでいた。杉浦さんと会うのは、あの日、自分の自宅前で永瀬と偶然居合わせて以来だったから……。
「あ、そうそう」
そんな私の心情を無視して、杉浦さんから超ドストレートな言葉を浴びせられる。
「永瀬君と付き合ってるの?」
その言葉に、恐る恐る視線を上げて杉浦さんの顔を見る。彼はにっこり、優しい笑顔で微笑んでいる。すべてを察しているようだ。嘘をつく必要も理由もない。私はこくりと頷いた。
「そっか」
「……驚きました?」
「うん、すごく」
そう言って一度頷くと続けて小声で言った。
「気になってたよ、ずっと」
「え?」
「恋人、できたかなって」
「あの、それって……?」
「あの時はまだ仕事のことしか考えられなくて君の気持ちを無視して一方的に別れを告げてしまったから。とても、傷つけたって」
「それなら……とっくの昔に立ち直ってます。心配ご無用」
笑って見せると杉浦さんも笑顔で頷いた。そして「じゃあ、この話はもうおしまい」と言って箸を取った。他の社員が多くいる食堂で、長々と昔付き合っていたころの話なんかできるはずがない。
そっか、杉浦さんが私の恋人の有無を気にしていたのは、昔一方的に私を振って傷つけてしまったと未だに気にしていたからなんだ。二度と恋が出来ないと落ち込んでいるとでも思ったのかな? 実際、しばらく恋はしていなかったけど……。
数日後、いつもお昼はコンビニのお弁当やおにぎりで済ます私が珍しく社員食堂を利用した時だった。
「隣、いいかな」
聞き覚えのある声に顔を上げると杉浦さんが隣に座った。
「社食、よく利用するの?」
「いいえ。いつもはコンビニで済ませちゃいます」
「俺もあんまりこないんだけど、久々に来たら川島さんの姿が目に入ったから」
隣からの視線を感じるけど私はなかなか目を合わせられないでいた。杉浦さんと会うのは、あの日、自分の自宅前で永瀬と偶然居合わせて以来だったから……。
「あ、そうそう」
そんな私の心情を無視して、杉浦さんから超ドストレートな言葉を浴びせられる。
「永瀬君と付き合ってるの?」
その言葉に、恐る恐る視線を上げて杉浦さんの顔を見る。彼はにっこり、優しい笑顔で微笑んでいる。すべてを察しているようだ。嘘をつく必要も理由もない。私はこくりと頷いた。
「そっか」
「……驚きました?」
「うん、すごく」
そう言って一度頷くと続けて小声で言った。
「気になってたよ、ずっと」
「え?」
「恋人、できたかなって」
「あの、それって……?」
「あの時はまだ仕事のことしか考えられなくて君の気持ちを無視して一方的に別れを告げてしまったから。とても、傷つけたって」
「それなら……とっくの昔に立ち直ってます。心配ご無用」
笑って見せると杉浦さんも笑顔で頷いた。そして「じゃあ、この話はもうおしまい」と言って箸を取った。他の社員が多くいる食堂で、長々と昔付き合っていたころの話なんかできるはずがない。
そっか、杉浦さんが私の恋人の有無を気にしていたのは、昔一方的に私を振って傷つけてしまったと未だに気にしていたからなんだ。二度と恋が出来ないと落ち込んでいるとでも思ったのかな? 実際、しばらく恋はしていなかったけど……。