Verbal Promise(口約束)~プロポーズは突然に~
「いいんだよ。気持ちばっかりはどうしようもない。川島さんが気に病むことは一つもないんだよ」
「社長……」
「さ、笑って。午後からも頑張ろうね。そろそろ時間だし戻りなさい」
そう言ってポンと一回肩を叩くと社長は社長室に置かれたソファにゆっくりと座った。
「あ、あの」
ふと思い浮かんだ疑問に声が出てしまった。
社長が本社に私を呼び寄せた本当の理由は、秀則さんと引き合わせることが目的だったのだろうか。
でも、声を出して社長の注意をひきつけただけで、そのあとの言葉はとてもじゃないけど口に出して言うことは出来なかった。
「あ、一番大事なことを言い忘れてた」
「え?」
沈黙する私の代わりに社長が口を開く。
「勘違いしないでね」
「はい……?」
「私が川島さんを本社に呼び寄せた理由は、前に言った通り、人員不足ももちろんだけどそれ以上に君ならあの慌ただしい部署でもちゃんとやってくれるって思ったから本社に呼び寄せたんだよ」
「はい……」
「息子の件はオマケ!」
社長の言っていることが本当か嘘かは分からないけど、おまけと言ってほほ笑むどこかチャーミングな笑顔につられて頬を緩める。
「さっき君の上司と少し話をしてね。弱音も吐かずによくがんばってるって言っていたよ。私の見込んだ通りだったね」
なぜだか急に鼻の奥がツンと痛んだ。
責められると思ったのにかけられる言葉は優しいものばかり。ほっとした気持ちと、職場の上司に認めてもらえて嬉しい気持ちが入り混じる。ほんとは少しだけ本社に来てしまったことを後悔していたけど……頑張って良かった。今は、ここに来てよかったと思える。私、やれば出来るんじゃん!
「これから年末にかけてもっと忙しくなって、年度末には死相が出る程だと聞きました」
「そうだね」
「でも、乗り切ってみせます。絶対」
こんなところで弱音を吐いていられないもの。死相が出る程の激務? のぞむところだ。就職して八年。一度くらい、仕事で死ぬ思いをしてみるのもいいかもしれない。
「うん。期待しているよ」
「では、失礼します」
社長室を出て自分の部署へと戻る。そして上司が昼休憩から戻ってきて外出してしまう前に「話があります」と言って呼び止めた。
「社長……」
「さ、笑って。午後からも頑張ろうね。そろそろ時間だし戻りなさい」
そう言ってポンと一回肩を叩くと社長は社長室に置かれたソファにゆっくりと座った。
「あ、あの」
ふと思い浮かんだ疑問に声が出てしまった。
社長が本社に私を呼び寄せた本当の理由は、秀則さんと引き合わせることが目的だったのだろうか。
でも、声を出して社長の注意をひきつけただけで、そのあとの言葉はとてもじゃないけど口に出して言うことは出来なかった。
「あ、一番大事なことを言い忘れてた」
「え?」
沈黙する私の代わりに社長が口を開く。
「勘違いしないでね」
「はい……?」
「私が川島さんを本社に呼び寄せた理由は、前に言った通り、人員不足ももちろんだけどそれ以上に君ならあの慌ただしい部署でもちゃんとやってくれるって思ったから本社に呼び寄せたんだよ」
「はい……」
「息子の件はオマケ!」
社長の言っていることが本当か嘘かは分からないけど、おまけと言ってほほ笑むどこかチャーミングな笑顔につられて頬を緩める。
「さっき君の上司と少し話をしてね。弱音も吐かずによくがんばってるって言っていたよ。私の見込んだ通りだったね」
なぜだか急に鼻の奥がツンと痛んだ。
責められると思ったのにかけられる言葉は優しいものばかり。ほっとした気持ちと、職場の上司に認めてもらえて嬉しい気持ちが入り混じる。ほんとは少しだけ本社に来てしまったことを後悔していたけど……頑張って良かった。今は、ここに来てよかったと思える。私、やれば出来るんじゃん!
「これから年末にかけてもっと忙しくなって、年度末には死相が出る程だと聞きました」
「そうだね」
「でも、乗り切ってみせます。絶対」
こんなところで弱音を吐いていられないもの。死相が出る程の激務? のぞむところだ。就職して八年。一度くらい、仕事で死ぬ思いをしてみるのもいいかもしれない。
「うん。期待しているよ」
「では、失礼します」
社長室を出て自分の部署へと戻る。そして上司が昼休憩から戻ってきて外出してしまう前に「話があります」と言って呼び止めた。