空を見る理由
屋上について
愛梨の車椅子をベンチのそばに止め
僕も座った
風でなびく愛梨の髪の毛
遠く空を見上げてる
止まらなかった会話がやみ
夢中で空を見上げる
「私ね、遥が来るまでいつも空を見てるんだ。そしたら遥も同じ空見てるかな?って」
空を見たまま話し続ける
「辛いことがあったら空を見上げてみて?私もその空を見てるから」
同じ気持ちを共有できるねって
愛梨の笑顔にサインなんてなくて
いつもと変わらない笑顔に
安心しすぎていた
愛梨の横顔を見て
「あの日、愛梨が空をよく見るって知った日から僕も同じ空を見てたよ!!
約束する!」
その言葉に愛梨はちゃんと振り向いてくれて
不意打ちにキスをした
だんだんと夕日に染まる愛梨の顔は
これまで以上に輝いていた。