孔雀石


今日も何事もなく授業を終えHRの最中
帰宅準備をしながら担任の先生の言葉を聞き流す
必要事項じゃないので聞いている生徒すら少ない



「はい、じゃあ終るから気を付けて帰れよー。」



という先生の言葉を合図にガタガタと教室の中が騒ぎだす
まだ席に残っている生徒が数人いる
私もその一人で後少し必要なものを用意してから帰るつもりだ



「柳谷、この後時間あるか?」



小さくコクリと頷き担任、松井佳祐は安心したように息を吐いた



「じゃあ、四時に応接室に来てくれ。」



分かりました、と頷いて、松井先生をみる
じゃあ頼む、と教室を出ていく後ろ姿を眺めてここじゃダメなのか、と考えてしまう



「松井、なんだったの?」



葉月が興味津々に聞いてくるが分からないのだから答えようがない
分からない、と首を振ればチェっと舌打ちをするがどうしようもない



「いいけど、待ってようか?」



いいよ、いつ終るか分かんないから。とノートに印せば言い募ろうとする葉月
だけど何も言わずに分かった、と頷いた



「じゃあね。また明日。」



バイバイ、と手を振り葉月の後ろ姿を見送る
時間はあと15分程度……何をしよう?



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