恋愛ケータイ小説倶楽部
「……大丈夫?」


女子トイレから一歩外へと出た時に、壁にもたれていた人に話しかけられた。


「えっ……は、長谷川くん!」


私が名前を呼ぶと彼は壁に預けていた背中を起こし、私の前に立つ。


「いや、なんか顔色があんまよくなさそうだったから。この前も体調悪そうにしてたし……大丈夫かな、と思ってさ」


冷静になって考えると私、体調悪くてトイレに駆け込んでって……


何やらめっちゃ我慢してたように思われてるよね?きっと。


は、恥ずかしすぎ!!


「あ、全然大丈夫だよ。元気だし……ちょっと問題が分かんなすぎて頭を冷やしたくて」


何だかもう訳が分からなくて妙に饒舌になる私。


もう怪しいことこの上ない。


「……あんまり無理しすぎんなよ」


「……え?」


「なんかあったら頼ってって前言ったじゃん?」


そう言いながら、長谷川くんは爽やかに微笑む。


は、長谷川くんって……


なんていい人なのだろう。


この優しさは神懸かっている気がする。


いや、もう後光が差しているのがみえてきたんですけど。



「ありがとう……」



< 105 / 217 >

この作品をシェア

pagetop