恋愛ケータイ小説倶楽部
「……って、痛っ」


突如頭に軽い痛みを感じた。


先生が何やら私に手でチョップをしてきたようだった。


「また聞いてなかっただろ」


私はまた妄想の世界へと誘われていたようだ。


「椎名はほっとくとすぐに違う世界へと
行くよな」


「うゔ」


私は自分の頭を摩りながら先生を見つめた。


「ちゃんと聞けよ。で、この宿題の部分の話ね。ここなんだけどな。もう少しエピソードを何か膨らました方がいいかと思うんだよ」


そう言って指摘する部分。


確かに少し話があっさりしているかもと薄々は感じていた。


「もう少し恋愛のトキメキが欲しいな」


「トキメキ……」


先生の言葉を繰り返してみたけれど、いきなりで何も思いつかない。


「椎名はどういう時にドキッてする?」


「ド、ドキッとですか?」


そんなの。


私は先生の些細な行動や言葉の一つ一つに翻弄されてドキドキしっぱなしなんですけど。


ただそんなこと絶対に言えないし。


「下の名前、いきなり呼ばれるとかは?」


「え?下の名前ですか?」


「理沙」

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