恋愛ケータイ小説倶楽部
すると、蛍光灯がチカチカと光を放ち始めた。

停電はすぐに回復したようだ。

その時には先生は腕の力を緩めていたので、私はすんなりと起き上がることができた。


「停電とか久しぶりだよな〜」


「そ、そうですよね」


心臓が………バクバクいってる。


私はそこに右手をそっと置き、これ以上動悸が激しくならないようにギュッと押さえた。


私、今日で自分の寿命が半分に絶対縮んだ。

別に某有名人気漫画のように死神の目を手に入れたわけではないのに。

きっと人の寿命ってそうやって減っていくんだ。うん、間違いない。



「椎名、今日送って帰ってやるよ」


「え?」


「雨まだひどいから」


そう言いながら、再び窓のカーテンを開ける先生。

相変わらず、窓に打ち付けられる雨。

でも私はそんな強い雨よりも先生のことが気になって。

気になって。

先生の後ろ姿が私の視界に入っているだけでドキドキした。



先生の腕の感覚が……


消えない。

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