恋愛ケータイ小説倶楽部
長谷川くんの声に私は、え?と言う言葉すらも出せなかった。


それは一瞬の出来事。


私たちのすぐ側を横切って行く車。



その車の中に乗っていたのは、


大川先生と


………古賀先生。



「この前瀬戸が言ってたのって古賀先生のことだったんだな。な、椎名ーーー」



これはなんの涙なんだろう。


悲しいわけじゃなく


もちろん嬉しいわけでもない。


ただひどく切なくて


心が揺れて


胸の奥が


まるで誰に鷲掴みされているかのように


ギュッと締め付けられる。


こんな痛みは


ーーー私は知らない。





第八章 切なさは雨のように -完-

< 125 / 217 >

この作品をシェア

pagetop