恋愛ケータイ小説倶楽部
ーーチャプン


私はお風呂の中で、三角座りで膝を抱えながら、膝の上に顎を乗せた。


入浴は大好きだ。


気持ちいいし落ちつけるし癒されるし。


何より嫌なことや辛いことがあっても吹き飛ばせる。


涙だって……跡形もなく綺麗に流せる。


私はお風呂に浸かりながら今日の出来事をゆっくり振り返った。


これが俗に言う"失恋"……ってやつなんだろうな。


私はたぶん心の何処かでは、少しの可能性を信じていたんだ。


でも。


先生は私の告白に対して、『女』としてではなくてただの『生徒』としての返事しかくれなかった。


その返事は私が『生徒』である以上、分かっていたはずなのに。


私にはその返答が生徒からの告白の断り方の模範解答のように感じてしまった。


断るなら『生徒』を理由にじゃなくて『私』を理由に断って欲しかった。


椎名理沙、一個人としての返事を期待していたのだろう。


私は先生にとって……特別でもなんでもない。


ただの……『生徒』だったんだ。


そう、現実を突きつけられた。


分かってたくせに。


ーー頬を伝う涙が止まらなかった。



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