恋愛ケータイ小説倶楽部
「瀬戸くん、バスケ上手だね」


沙也加に肘で小突きながら、少し冷やかすように言った。


「そうだね……」


瀬戸くんのことを話に出すと、沙也加はいつもとは違った表情をする。


いつも元気いっぱいな沙也加が急に恋する乙女の顔になる。


頬を染めながら瀬戸くんを見つめる沙也加を間近で見て、恋してるってこういうことを言うんだろうなと思った。


それはまるで私が書いている小説に出てくる主人公のように、毎日がハッピーでキラキラ輝いていて。


それが恋だというのならば、私のこの気持ちは恋だとは言えないのだろうか。


私の恋は小説に出てくるものとは相反して、こんなにも苦しくて、つらくて、切なくて……時々想いが溢れて


ーーー泣きたくなる。

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