恋愛ケータイ小説倶楽部
そんなことを思いながらボーッとしていると、コートの対角線上にいるある人をまた視界に捉えてしまった。


ーードキッ


大川先生だ。


やっぱり先生の姿を見てしまうと、胸の鼓動が速くなる。


そして、それと同時に胸がギュッと締め付けられるような感覚が止まらない。


さっきは生徒に囲まれていたけど、今からコートでバスケの試合が始まるから先生は一人になったようだ。


先生は、うっすら微笑んでどこか遠くを眺めてた。


もちろん私の視線になんて気づいているわけもなく。


先生、一体どこ見てるんだろう。


疑問に思ってその視線を辿ると、


「え……」


私は止まった。


瞬きさえできなかった。


ドクン、ドクンと心臓が変な音を立ててるのを感じた。


そこには。


先生の視線の先には。


……古賀先生の姿があった。


先生に視線を戻すと。


やっぱりうっすら微笑んでいて。


それでいてなんだか切なさそうで。


私は持っていたタオルをギュッと握りしめた。


先生と古賀先生はやっぱり何かある……


私は直感的にそう、感じた。


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