恋愛ケータイ小説倶楽部
すると、先生は自分のケータイを取り出し、どこかへ電話かけようとしている。


……なんか。


とんでもなく嫌な予感がするのですが。


「…あの先生、今どこに電話しようとしてます?」


「ん?椎名んちに。お母さんにケータイ没収してたの返しましたのでって言わないといけないだろ?」


「!?」


「…あ、もしも」


私は先生が言葉を言い切る前にそのケータイを奪いとり、通話を強制終了させることに成功した。

それを見ながら先生はニヤリと怪し気な笑みを零しながら口を開いた。


「…椎名は部活やってないよな」


「……はい?」


「じゃあ、毎週火曜日。ここで俺が小説の書き方、教えてやるから」


「は?え?」


「来なかったら、どうなるか分かってるよな?」


そう言いながら、大川先生はニヤリと笑う。

この人、私がお母さんにケータイ没収されたことを告げ口されるのが嫌なの、分かってる……!


「きょ、脅迫する気ですか」


「脅迫って…人聞きが悪いな。これは協力だよ」


同じ『きょう』から始まる言葉でもえらい違いだな、なんて言って先生は笑っているけど。


私は


全く笑えなかった。



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