恋愛ケータイ小説倶楽部
私はレポート用紙にまとめてきた『宿題』を手渡した。

そこには大まかなあらすじのようなものが一枚とキャラクターの説明が一枚。

先生はそれを受け取ると真剣な表情で見つめていた。


……何て言われるかな。

この人のことだから、立ち直れないくらいけちょんけちょんに言ってきそうな気がする…


私はこの前自分の書いた小説のことを『会話文』と言われたことをまだ根に持っていた。


「書いてみてどうだった?」


「……え?」


先生は私に目を向けることなく、レポート用紙に目線を合わせたまま、会話を続ける。


「椎名はこれを書いてみてどう思った?」


書いてみて……


始めは


そんなの書くのめんどくさいな…


なんて思っていたけど。


案外書いてみるとそうでもなくて


「自分の頭で描いていたものがきちんと目に見えるようになると今まで整理しきれなかった部分がすっきりとした気がしました」


「……ん。そっか」



そう言いながら、先生は少し笑みをこぼしていた。

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