恋愛ケータイ小説倶楽部
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私は長谷川くんに支えられながら、何とか保健室へとたどり着いた。
「あら、どうしたの?」
「あ、古賀先生、ちょっと椎名が体調悪いみたいなんで連れて来ました」
古賀先生は20代くらいの若めな保健室の先生だ。
私たちと歳も近いことがあって下の名前の『美姫(みき)ちゃん』とか『ミキティ』とかって呼ばれている。
ルックスもふんわりとした可愛らしい女性って感じで、男女問わず人気があって。
むしろ男子なんて本気で恋しちゃってる人がいるのでは?なんて思ったりする。
「椎名さん、大丈夫?風邪かしら?ちょっとお熱計ろうね。ここ座って」
そう言い、古賀先生は丸い椅子を手を掛ける。
私はそこへ座ると体温計を私の前に渡してきたので、大人しく受け取り脇に挟んだ。
「椎名、じゃあ俺教室戻るわ」
「あ、長谷川くん……ありがとう」
長谷川くんは「ん」とだけ返事をした後、またあの王子様スマイルで去って行った。
長谷川くん、本当になんていい人なんだ。
彼がモテる理由はたぶん顔がイケメンなだけじゃなくてこういうところなんだろうなとしみじみ感じてしまう。