恋愛ケータイ小説倶楽部
えっ?と言う間も無く私の手の中からケータイは姿を消した。


「ケータイは校内禁止だろ」


こ、この声は……


私からケータイを取り上げた犯人の顔を見上げた。


「お、大川先生……」


そう、私の手元からまるでマジシャンかのように鮮やかにケータイ電話を奪った犯人は担任の大川先生だった。


「そんな真剣な顔で何見てたの?」


そう言いながら、私から奪い取ったケータイの画面を覗き込む大川先生。


「か、返してください!!プライバシーの侵害!!」


「ん…?『あぁん、アン』……?」


そ、その聞き覚えのあるフレーズ!!!


私は先生の口から漏れたその言葉に顔が一気に青ざめていった。


「これってケータイ小説ってやつ?最近の女子高生はほんとにこういうの読んでんだな」


そう言いながら「へー」と今だに私のケータイから目を離そうとしない我が担任の大川直人。


いや、違うんです。


読んでるんじゃなくて書いているんですよ。それ。


もういっそのこと読んでると思われたい……


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