恋愛ケータイ小説倶楽部
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帰り道。
昨日は先生と一緒に歩いた道のりを今日は一人で歩いて帰っていた。
さっき頭に置かれた先生の手の感触を思い出す。
すると急に胸が熱くなった。
……私やっぱおかしいよ。
そんな邪念を振り払うべく頭をブンブンと振った。
ふと右下の足元に目をやるとそこには小さな花が咲いていた。
私はその花を手に取ってみる。
名前なんて分からない。
花びらが数枚ついた花だ。
私は占いなんて信じたことがないし、女子ってなんで占いが好きなんだろうっていつも思っていた。
その証拠にこれは花占いなんかじゃない。
だって普通は相対する言葉を並べるのに。
これはただ単に同じ言葉を繰り返しているだけなのだから。
「好きじゃない」
そう言葉を発する度に、一枚花びらをむしり取っていく。
「好きじゃない。好きじゃない」
私を少しからかう時の意地悪っぽい顔。
「好きじゃない。好きじゃない」
ふと見せたあの哀しげな表情。
「好きじゃない。好きじゃない」
好きなものを話す時の少年っぽい、くしゃっとした笑顔。
こんなの花占いなんかじゃない。
だって、答えなんてもう分かりきってるじゃないか。
私は最後の一枚の花びらを掴んで、呟いた。
「………好き」
第六章 どうしようもない私に恋が降りてきた -完-