ホット・アイスクリーム
「いひゃいよ」
「走って来い」
「理不尽だ」
「液体になるほど時間かかったんだな」
「すいません。寄り道しました」
正直に認めると、小さく溜め息をつかれた。そのまま袋ごと捨てに行かれるかと思いきや、アイスを取り出して、インナーシールを剥がした。
液体なんて大袈裟じゃないか。
「スプーンは無事だよ?」
スカートのポケットから、紙スプーンを出して手渡す。
「なんで、したり顔なんだよ」
「よくやったでしょ」
にっこりと微笑むと、高宮が小さく笑い出した。
「おまっ…。笑わせるなよ…」
しかも、アイスのカップを地面に置いて、座り込んでまで。
「意味がわからない」