朔旦冬至 さくたんとうじ ~恋愛日和~
「さくちゃん…おそいねえ…」
由宇は心配そうにしている。
時計の針はすでに9時を回った。
夕飯のおでんは,すでに
冷えてしまっていた。
「さあ,由宇ちゃんはそろそろ
寝ようか?」
「…うん…」
「明日,朝早いし,
寝ておこうよ」
「うん!」
由宇は,明日の用意をした
リュックサックを
枕元に置いて,就寝準備をした。
「ひーちゃん…」
由宇は,少し甘えた声で
陽和のもとに来る。
こういうときは,
少しだけ由宇が不安を
感じているときだ。
陽和はそれを察して,
由宇を抱っこする。
「大丈夫だよ,朔ちゃん,
旅行のために,
一生懸命お仕事,
してるんだから」
陽和はそういって
由宇の頭を撫でる。
由宇は,ホッとした顔で
陽和にしがみつく。
陽和は,由宇をあやしながら
朔を待っていた。
いつの間にか,そのまま
寝てしまった由宇を
そっと布団に降ろす。
時刻は既に10時。
朔が,こんなに遅くなることは
滅多にない。
陽和は,由宇の頭を撫でながら
少し不安な気持ちと
戦っていた。
朔の迷惑になるかなと
思いながらも,
陽和は,朔に電話をしてみた。
朔は…電話に出ない…。
なにか…おかしい…。
陽和の不安は増大した。
朔ちゃんが連絡もせずに
こんなに遅くなるなんて
おかしい…。
何かあったんじゃないかな…。
陽和は意を決して,
朔の勤め先に電話をしてみた。
しかし,電話は
つながらないままだった。
夜の10時。
こんな時間に,電話を
かけてくる人なんていない。
だから,放っておいたのかな。
それでも不安な気持ちが
止まらなくなった。
朔ちゃん…大丈夫…
なのかしら…?
陽和は,由宇がいるため,
探しに行くことも出来ない。
不安な気持ちに
押しつぶされそうになって…
つい,公ちゃんに連絡を
してしまった。
”公ちゃん,朔ちゃんが
帰ってこなくて…
連絡も…とれなくて…”
そう,メールをすると,
すぐに公ちゃんから連絡があった。
”俺もかけてみたんだけど…
出ない…な…あいつ。
ひーちゃん,由宇ちゃん
居るから,出られないだろう。
俺,ちょっと
高校に行ってみるわ”
”…ごめんね,遅い時間に。
ありがとう!”
公ちゃんに迷惑だとは思ったが,
自分の不安な気持ちの
置きどころがなくて,
つい,頼ってしまった。
…朔ちゃん…本当に…
どうしちゃったんだろ…。
陽和は,そう思って
不安な気持ちがどんどん
高まっていく。
気が付いたら,涙が
流れていた。
…情けない…な…私。
朔ちゃんが,少し遅く
なっただけで…
こんなに不安になるなんて…。
もしも…万が一…
朔ちゃんに…何かあったら…
私…
そう思えば思うほど,
涙が止まらなくなった。
そのとき…
陽和の携帯電話が鳴った。
「!!」
陽和は,慌てて
電話の画面を見る。
連絡してきたのは
…公ちゃんだった。
「陽和…あのさ…
高校は…電気,ついてないわ。
誰も…いない…」
「え…!?」
陽和の頭の中は真っ白になった。
朔は…残業していて
遅くなっているわけじゃない。
「え…じゃ…」
「うーん…どう…
しちゃったんだろな…
と,とりあえず,
そっちに行くよ。
大丈夫か,ひーちゃん?」
「…う…うん…」
陽和は明らかに動揺していた。
朔に…何かあったのだろうか…
手足が震え,
その場にへたりこんだ。
朔ちゃん…朔ちゃん…
早く…帰ってきてよ…
陽和は,自分一人では
どうしようもないことに
自分の力のなさを感じていた。
朔が行きそうな場所も,
朔がどうしているかも
自分には見当がつかない。
朔のことを信用しているからこそ,
帰ってこない理由は,
事件か…事故か…
何か良くないことが起きているに
違いない…。
不安で不安で…仕方なかった。
ただただ,
泣くしかできない自分が
情けない一方…
朔の存在の大きさを
犇々と感じていた。
私は…やっぱり…
朔ちゃんがいないと…
…ダメなんだな…。
小学生の頃も,いつも
そう思っていた。
そういう自分が悔しかった。
今も…そう…
それと同じ気持ちも
もちろんある。
だけど…それだけじゃない。
今は,ただ朔ちゃんに
頼っているというだけじゃない。
自分にとって,朔ちゃんは
絶対に,絶対に失いたくない
大切な人。
朔ちゃん無しの人生なんて
もう…考えられない。
朔ちゃんのそばにいたい。
長く長くこの先の人生も…
ずっと…一緒に…
陽和は,考えれば考えるほど
飛びそうになる意識を,
なんとか保っていた。
そのとき…
由宇は心配そうにしている。
時計の針はすでに9時を回った。
夕飯のおでんは,すでに
冷えてしまっていた。
「さあ,由宇ちゃんはそろそろ
寝ようか?」
「…うん…」
「明日,朝早いし,
寝ておこうよ」
「うん!」
由宇は,明日の用意をした
リュックサックを
枕元に置いて,就寝準備をした。
「ひーちゃん…」
由宇は,少し甘えた声で
陽和のもとに来る。
こういうときは,
少しだけ由宇が不安を
感じているときだ。
陽和はそれを察して,
由宇を抱っこする。
「大丈夫だよ,朔ちゃん,
旅行のために,
一生懸命お仕事,
してるんだから」
陽和はそういって
由宇の頭を撫でる。
由宇は,ホッとした顔で
陽和にしがみつく。
陽和は,由宇をあやしながら
朔を待っていた。
いつの間にか,そのまま
寝てしまった由宇を
そっと布団に降ろす。
時刻は既に10時。
朔が,こんなに遅くなることは
滅多にない。
陽和は,由宇の頭を撫でながら
少し不安な気持ちと
戦っていた。
朔の迷惑になるかなと
思いながらも,
陽和は,朔に電話をしてみた。
朔は…電話に出ない…。
なにか…おかしい…。
陽和の不安は増大した。
朔ちゃんが連絡もせずに
こんなに遅くなるなんて
おかしい…。
何かあったんじゃないかな…。
陽和は意を決して,
朔の勤め先に電話をしてみた。
しかし,電話は
つながらないままだった。
夜の10時。
こんな時間に,電話を
かけてくる人なんていない。
だから,放っておいたのかな。
それでも不安な気持ちが
止まらなくなった。
朔ちゃん…大丈夫…
なのかしら…?
陽和は,由宇がいるため,
探しに行くことも出来ない。
不安な気持ちに
押しつぶされそうになって…
つい,公ちゃんに連絡を
してしまった。
”公ちゃん,朔ちゃんが
帰ってこなくて…
連絡も…とれなくて…”
そう,メールをすると,
すぐに公ちゃんから連絡があった。
”俺もかけてみたんだけど…
出ない…な…あいつ。
ひーちゃん,由宇ちゃん
居るから,出られないだろう。
俺,ちょっと
高校に行ってみるわ”
”…ごめんね,遅い時間に。
ありがとう!”
公ちゃんに迷惑だとは思ったが,
自分の不安な気持ちの
置きどころがなくて,
つい,頼ってしまった。
…朔ちゃん…本当に…
どうしちゃったんだろ…。
陽和は,そう思って
不安な気持ちがどんどん
高まっていく。
気が付いたら,涙が
流れていた。
…情けない…な…私。
朔ちゃんが,少し遅く
なっただけで…
こんなに不安になるなんて…。
もしも…万が一…
朔ちゃんに…何かあったら…
私…
そう思えば思うほど,
涙が止まらなくなった。
そのとき…
陽和の携帯電話が鳴った。
「!!」
陽和は,慌てて
電話の画面を見る。
連絡してきたのは
…公ちゃんだった。
「陽和…あのさ…
高校は…電気,ついてないわ。
誰も…いない…」
「え…!?」
陽和の頭の中は真っ白になった。
朔は…残業していて
遅くなっているわけじゃない。
「え…じゃ…」
「うーん…どう…
しちゃったんだろな…
と,とりあえず,
そっちに行くよ。
大丈夫か,ひーちゃん?」
「…う…うん…」
陽和は明らかに動揺していた。
朔に…何かあったのだろうか…
手足が震え,
その場にへたりこんだ。
朔ちゃん…朔ちゃん…
早く…帰ってきてよ…
陽和は,自分一人では
どうしようもないことに
自分の力のなさを感じていた。
朔が行きそうな場所も,
朔がどうしているかも
自分には見当がつかない。
朔のことを信用しているからこそ,
帰ってこない理由は,
事件か…事故か…
何か良くないことが起きているに
違いない…。
不安で不安で…仕方なかった。
ただただ,
泣くしかできない自分が
情けない一方…
朔の存在の大きさを
犇々と感じていた。
私は…やっぱり…
朔ちゃんがいないと…
…ダメなんだな…。
小学生の頃も,いつも
そう思っていた。
そういう自分が悔しかった。
今も…そう…
それと同じ気持ちも
もちろんある。
だけど…それだけじゃない。
今は,ただ朔ちゃんに
頼っているというだけじゃない。
自分にとって,朔ちゃんは
絶対に,絶対に失いたくない
大切な人。
朔ちゃん無しの人生なんて
もう…考えられない。
朔ちゃんのそばにいたい。
長く長くこの先の人生も…
ずっと…一緒に…
陽和は,考えれば考えるほど
飛びそうになる意識を,
なんとか保っていた。
そのとき…