朔旦冬至 さくたんとうじ ~恋愛日和~
「じゃあ,忘れ物はないか?」
「うん!」
「じゃあ,出発!!」
冬の外は,まだ暗い。
3人で出かける初めての旅行に,
それぞれ,わくわくした
思いを抑えきれずにいた。
特に,朔は,この旅行に
特別な思いを持って挑んでいた。
高速道路に乗ったころ,
辺りは少し明るくなってきた。
「夜明け…だな…」
朔はぼそっとつぶやく。
これから,始まっていく…
いろんなことが…
新しく…
朔はそんな思いを抱えながら
そうつぶやいた。
「すごいねえ,ひーちゃん」
「そうだねえ,きれいだね」
仲良く窓の外を眺めながら
陽和と由宇は,
幻想的な冬の夜明けに
見とれていた。
「寒くないか?」
「うん,大丈夫」
朔は,後ろの様子も気にしながら
車を走らせていた。
1時間ほど走ったところで,
朔はサービスエリアに
車を入れた。
「さて,ちょっと
休憩しますか」
そういって,降りたところは,
少し小高い山中で,
下は霧がかかっていた。
「わー,すごいねえ」
「ホント,絶景」
朔は,どうやら下調べ
してきたようで,
二人の様子に満足げだった。
「さて,朝ご飯に
しましょうか?」
陽和が取り出した
ランチジャーの中の
おでんと豚汁は,
まだ温かかった。
「わー,おいしい!」
「うん,あったかい」
朔と由宇は幸せそうに
おにぎりをほおばる。
「陽和の作ったご飯は
ホントに,何食べても
うまいなあ」
「うん,ひーちゃんの
ごはん,ぼく
だーいすき」
「ありがと」
陽和はにっこり笑う。
「陽和の作った食事,
一生…食べたいな…」
「え?」
朔はついポロリと出た
その言葉に,陽和が
思いもよらず大きく
反応していることに
気が付いてしまった。
「あ…」
「あ…」
二人は顔を見合わせた。
陽和は,目を大きく
見開いて,瞳を震わせた。
「ねえ,ひーちゃん,
これはなにがはいってるの?」
由宇は別のおにぎりを
持って,中身を聞いた。
「あ…こ…こっちはね,
たらこが入ってるよ」
朔は,陽和のその表情を見て
緊張が高まってしまった
自分を感じていた。
はあ…まだ
言い出す手前なのに
こんなことで反応していては…
だめ…だな…俺。
出発前にトイレ休憩。
陽和は,鏡を見ながら
さっきの光景を思い出していた。
び…びっくりした…。
朔ちゃん…
この間,お母さんと
会ってくれた時も…
そんなこと…言ってたな…。
ほ…ホントのところ…
朔ちゃんは…どう…
思っているんだろうか。
顔が赤くなる。
変に期待してはいけないと
自分に言い聞かせながらも
ここ数日の朔の様子を見ると
つい…そんなことを
思ってしまう。
車に戻ると朔は,
穏やかに微笑む。
「出発していい?」
「うん」
陽和は,ちらりと見える
朔の後ろ姿を
眺めながら思いにふけっていた。
「うん!」
「じゃあ,出発!!」
冬の外は,まだ暗い。
3人で出かける初めての旅行に,
それぞれ,わくわくした
思いを抑えきれずにいた。
特に,朔は,この旅行に
特別な思いを持って挑んでいた。
高速道路に乗ったころ,
辺りは少し明るくなってきた。
「夜明け…だな…」
朔はぼそっとつぶやく。
これから,始まっていく…
いろんなことが…
新しく…
朔はそんな思いを抱えながら
そうつぶやいた。
「すごいねえ,ひーちゃん」
「そうだねえ,きれいだね」
仲良く窓の外を眺めながら
陽和と由宇は,
幻想的な冬の夜明けに
見とれていた。
「寒くないか?」
「うん,大丈夫」
朔は,後ろの様子も気にしながら
車を走らせていた。
1時間ほど走ったところで,
朔はサービスエリアに
車を入れた。
「さて,ちょっと
休憩しますか」
そういって,降りたところは,
少し小高い山中で,
下は霧がかかっていた。
「わー,すごいねえ」
「ホント,絶景」
朔は,どうやら下調べ
してきたようで,
二人の様子に満足げだった。
「さて,朝ご飯に
しましょうか?」
陽和が取り出した
ランチジャーの中の
おでんと豚汁は,
まだ温かかった。
「わー,おいしい!」
「うん,あったかい」
朔と由宇は幸せそうに
おにぎりをほおばる。
「陽和の作ったご飯は
ホントに,何食べても
うまいなあ」
「うん,ひーちゃんの
ごはん,ぼく
だーいすき」
「ありがと」
陽和はにっこり笑う。
「陽和の作った食事,
一生…食べたいな…」
「え?」
朔はついポロリと出た
その言葉に,陽和が
思いもよらず大きく
反応していることに
気が付いてしまった。
「あ…」
「あ…」
二人は顔を見合わせた。
陽和は,目を大きく
見開いて,瞳を震わせた。
「ねえ,ひーちゃん,
これはなにがはいってるの?」
由宇は別のおにぎりを
持って,中身を聞いた。
「あ…こ…こっちはね,
たらこが入ってるよ」
朔は,陽和のその表情を見て
緊張が高まってしまった
自分を感じていた。
はあ…まだ
言い出す手前なのに
こんなことで反応していては…
だめ…だな…俺。
出発前にトイレ休憩。
陽和は,鏡を見ながら
さっきの光景を思い出していた。
び…びっくりした…。
朔ちゃん…
この間,お母さんと
会ってくれた時も…
そんなこと…言ってたな…。
ほ…ホントのところ…
朔ちゃんは…どう…
思っているんだろうか。
顔が赤くなる。
変に期待してはいけないと
自分に言い聞かせながらも
ここ数日の朔の様子を見ると
つい…そんなことを
思ってしまう。
車に戻ると朔は,
穏やかに微笑む。
「出発していい?」
「うん」
陽和は,ちらりと見える
朔の後ろ姿を
眺めながら思いにふけっていた。