朔旦冬至 さくたんとうじ ~恋愛日和~
土日あけて月曜日。
陽和は出勤後すぐに,
美和子につかまった。
「おはようございます。
陽和せんせ。」
「美和子先生おはよう。
ど・・どうしたの?」
「先生,金曜日に,
隣のクラスのパパが
先生に会いに来ましたよ。」
「は・・?」
陽和は一瞬意味が分からなかった
けれど・・まさかと
朔の顔がよぎった。
「れんげ組の,
高比良由宇くんのパパ,
陽和先生と同級生だって
言ってましたよ。」
「あ・・・え・・・
へえ・・・そう・・
なの・・・・?」
「ええ。
すごく背が高くて
イケメンですねえ。」
「あ・・・え・・
そ・・・そうなの?
わ・・・わかんない,
朔ちゃ・・えっと
高比良くんは・・・
小学校の時の同級生
・・だから・・・
それ以降逢ってないし・・・。」
「そうかあ,
そうですよねえ。
でも,陽和先生の
名前覚えてるなんて,
仲良しだったんじゃないん
ですか?」
「え・・・あ・・・
ま・・まあ・・・。」
陽和は少し
戸惑いながらそう答えた。
・・・仲良しも何も・・
ずっと・・・好きだった
人なんだもの・・。
そして・・・
朔ちゃんも・・・
あのときは
私のこと好きって・・・。
陽和はそう思いながらも
ちょっと考えた
・・・朔ちゃんはいったい
どういう気持ちで
私に逢いに来たのだろうか?
だけど・・・
もう子どもがいるような
人なんだもの・・
深い意味は・・・
無いよね・・・?
そう思いながら
陽和は朝の準備をしていた。
「でも,残念ですねえ。」
「え?何が?」
「陽和先生フリーでしょ?」
「ええ・・まあ。」
「あんなにイケメンで
優しそうな人・・・
もしフリーだったら
私がアタックしたいくらい。
でも・・保護者じゃあ
ねえ・・・。」
「・・・。」
陽和は一瞬黙ってしまったけれど
美和子の言うことは
もっともすぎて・・・
少し吹っ切れた。
「そうだよね・・・
そんな素敵なんなら
私も惜しいこと・・・
したかなあ・・・。」
「あはは。」
陽和はそう,
精いっぱいの強がりで
おどけて見せた。
美和子はそれを不思議には
思わず,
自然に受け止めて
居る様子で・・・
陽和は変に勘ぐられなくて
よかったとホッとした。
これが・・・大人に
なるってこと・・・
だよね・・・?
昔の自分だったら
きっと考えられない。
陽和はそう・・・
思っていた。
子どもたちが次々と
登園してくる。
陽和はそれぞれの保護者と
会話をしながら
子どもたちを預かる。
少しずつそれぞれの
子どもたちのことや
おうちのことがわかるように
なってきていた。
朔は,由宇を連れて
保育園へと急いでいた。
あれだけ昨日は
眠れなかったのに
今日は・・・
寝坊してしまった・・・。
しばらくなかなか
眠れなかったから
・・・かな。
朔はギリギリの時間に
由宇を連れて
保育園へ走りこんだ。
「よろしくお願いします!」
れんげ組で古川先生に
由宇を預ける。
慌てて走ってきた朔が
視界に入っていた。
あ・・・朔ちゃん・・。
少し髪が整っていない朔が
・・・それでも
輝いてみえた。
ああ・・・
やっぱり・・・
正直なところ・・・
かっこ・・・いいな。
陽和は,すでに子どもがいる
朔に対して・・・
抱いてはいけない感情と
頭では理解しながらも
そう思わずにはいられなかった。
そして・・・
朔はふっと
すみれ組に
視線をうつした・・・。
・・・・ドキ・・・・
視線がバチっと
合って・・・・
一瞬二人の周りの
時間が・・・
止まったように感じた。
陽和は・・・
保護者と話をしていて・・・
朔は・・・
遅刻寸前で急いでいて・・・
そんな状況だったけど・・
それでも・・・
朔は・・・
陽和に
ニコリと・・・微笑み。
陽和は朔へ
・・・
やわらかいその・・笑顔を
返した。
これが・・・
二人の・・
13年ぶりの・・・
再会・・・。
陽和は・・・
朔が自分の方を見て
微笑んでくれたことで・・・
どうしたらいいか
わからないほどの
感情になっていた。
体中の熱が上がって・・・
沸騰してしまうのでは
ないかというくらいの
気持ちになる・・・。
だけど・・やっぱり
家族がいる人に
そんな感情を抱いては
いけない・・・。
あのときのような
背徳感と
すっかり解凍されてしまった
朔への恋心で
陽和の胸は
ギュッと締め付けられた。
・・・苦しい・・。
ああ・・
どうして私は・・・
大人になるまで
この気持ちを
凍らせてしまっていたんだろう。
早く・・・もっと早く
朔に・・・
思いを伝えられたなら・・・
こんなに・・
苦しまなくて・・・
済んだかもしれないのに。
陽和は出勤後すぐに,
美和子につかまった。
「おはようございます。
陽和せんせ。」
「美和子先生おはよう。
ど・・どうしたの?」
「先生,金曜日に,
隣のクラスのパパが
先生に会いに来ましたよ。」
「は・・?」
陽和は一瞬意味が分からなかった
けれど・・まさかと
朔の顔がよぎった。
「れんげ組の,
高比良由宇くんのパパ,
陽和先生と同級生だって
言ってましたよ。」
「あ・・・え・・・
へえ・・・そう・・
なの・・・・?」
「ええ。
すごく背が高くて
イケメンですねえ。」
「あ・・・え・・
そ・・・そうなの?
わ・・・わかんない,
朔ちゃ・・えっと
高比良くんは・・・
小学校の時の同級生
・・だから・・・
それ以降逢ってないし・・・。」
「そうかあ,
そうですよねえ。
でも,陽和先生の
名前覚えてるなんて,
仲良しだったんじゃないん
ですか?」
「え・・・あ・・・
ま・・まあ・・・。」
陽和は少し
戸惑いながらそう答えた。
・・・仲良しも何も・・
ずっと・・・好きだった
人なんだもの・・。
そして・・・
朔ちゃんも・・・
あのときは
私のこと好きって・・・。
陽和はそう思いながらも
ちょっと考えた
・・・朔ちゃんはいったい
どういう気持ちで
私に逢いに来たのだろうか?
だけど・・・
もう子どもがいるような
人なんだもの・・
深い意味は・・・
無いよね・・・?
そう思いながら
陽和は朝の準備をしていた。
「でも,残念ですねえ。」
「え?何が?」
「陽和先生フリーでしょ?」
「ええ・・まあ。」
「あんなにイケメンで
優しそうな人・・・
もしフリーだったら
私がアタックしたいくらい。
でも・・保護者じゃあ
ねえ・・・。」
「・・・。」
陽和は一瞬黙ってしまったけれど
美和子の言うことは
もっともすぎて・・・
少し吹っ切れた。
「そうだよね・・・
そんな素敵なんなら
私も惜しいこと・・・
したかなあ・・・。」
「あはは。」
陽和はそう,
精いっぱいの強がりで
おどけて見せた。
美和子はそれを不思議には
思わず,
自然に受け止めて
居る様子で・・・
陽和は変に勘ぐられなくて
よかったとホッとした。
これが・・・大人に
なるってこと・・・
だよね・・・?
昔の自分だったら
きっと考えられない。
陽和はそう・・・
思っていた。
子どもたちが次々と
登園してくる。
陽和はそれぞれの保護者と
会話をしながら
子どもたちを預かる。
少しずつそれぞれの
子どもたちのことや
おうちのことがわかるように
なってきていた。
朔は,由宇を連れて
保育園へと急いでいた。
あれだけ昨日は
眠れなかったのに
今日は・・・
寝坊してしまった・・・。
しばらくなかなか
眠れなかったから
・・・かな。
朔はギリギリの時間に
由宇を連れて
保育園へ走りこんだ。
「よろしくお願いします!」
れんげ組で古川先生に
由宇を預ける。
慌てて走ってきた朔が
視界に入っていた。
あ・・・朔ちゃん・・。
少し髪が整っていない朔が
・・・それでも
輝いてみえた。
ああ・・・
やっぱり・・・
正直なところ・・・
かっこ・・・いいな。
陽和は,すでに子どもがいる
朔に対して・・・
抱いてはいけない感情と
頭では理解しながらも
そう思わずにはいられなかった。
そして・・・
朔はふっと
すみれ組に
視線をうつした・・・。
・・・・ドキ・・・・
視線がバチっと
合って・・・・
一瞬二人の周りの
時間が・・・
止まったように感じた。
陽和は・・・
保護者と話をしていて・・・
朔は・・・
遅刻寸前で急いでいて・・・
そんな状況だったけど・・
それでも・・・
朔は・・・
陽和に
ニコリと・・・微笑み。
陽和は朔へ
・・・
やわらかいその・・笑顔を
返した。
これが・・・
二人の・・
13年ぶりの・・・
再会・・・。
陽和は・・・
朔が自分の方を見て
微笑んでくれたことで・・・
どうしたらいいか
わからないほどの
感情になっていた。
体中の熱が上がって・・・
沸騰してしまうのでは
ないかというくらいの
気持ちになる・・・。
だけど・・やっぱり
家族がいる人に
そんな感情を抱いては
いけない・・・。
あのときのような
背徳感と
すっかり解凍されてしまった
朔への恋心で
陽和の胸は
ギュッと締め付けられた。
・・・苦しい・・。
ああ・・
どうして私は・・・
大人になるまで
この気持ちを
凍らせてしまっていたんだろう。
早く・・・もっと早く
朔に・・・
思いを伝えられたなら・・・
こんなに・・
苦しまなくて・・・
済んだかもしれないのに。