朔旦冬至 さくたんとうじ ~恋愛日和~
昼休み。
なぜか朔はまた
保健室に顔を出していた。
「しかし・・・
思った以上に朔ちゃんの
一途なのには・・
・・・すごいなと
感心するけど・・・
ちょっと通り越して,
呆れたわ・・・。」
「・・はは・・
やっぱ・・・
そうっすか・・ね・・。」
朔は定位置のソファで
頭を掻きながら
中村先生の方を見上げた。
「由宇ちゃん
迎えに行ったときに?」
「あ・・いや,
この間,園だよりって
学校便りみたいなやつが
あるんですけど,
それに陽和の名前が
載ってたから。」
「そっか,それで
逢いに行ったんだ?」
中村先生はそういいながら
ニヤッと笑った。
「いや,会いに行ったって
ほどじゃないですよ。
迎えのついでに・・・。」
「ついでに?
話をしたんだ?」
「いや・・・それが・・・
その・・・。」
実はまだ会話も
できていないなんて
・・・やっぱり自分の
臆病っぷりが
際立って・・恥ずかしい。
「実は・・・まだ,
会話はできてなくて。」
「え?どうして?」
「いや,忙しい・・時間帯
とか・・だったりとか・・・
して・・・
なかなか・・・
ほら向こうも勤務中だし・・・。」
「はあ?」
中村先生は呆れた様子で
朔を見た。
「あのねえ,朔ちゃん。
そんなに長い間,
恋焦がれていた人に
偶然再会したんでしょ?
こんな奇跡みたいなことは
ないのよ?
早く誘って
連絡先の交換とか
食事に誘うとかぐらい
しなさいよ!」
「や・・・や・・
で・・も・・・。」
そういって戸惑う朔に
中村先生はまた呆れた。
「あ,そういえば
先生は,どうして陽和と?」
「ああ・・
昨日駅で,偶然会ったのよ。
たぶん陽和ちゃんは
電車通勤ね。」
「あ・・なるほど。」
陽和の実家はこの街だったはず。
陽和は実家を出ているのかな。
もしかしたら・・・
恋人と一緒に・・・?
「駅でお惣菜,
選んでたからなあ・・・
たぶん・・
独り暮らしだと思うけど・・・。」
「え?まじっすか,
そうなんですか?」
朔は思った以上に
自分がそのことに食いついて
しまっていることに
ハッとした。
「・・だから・・・
そんなに気になるなら
自分で確かめなさいよ。」
「あ・・・は・・い。」
中村先生の言うことは
もっともだった。
「でも,先生
どう思います?
・・・陽和・・・
・・・あの・・・
・・・可愛くなかったですか?」
「え?」
朔が真っ赤になりながら
そういったことに
中村先生は再び呆れながら
でも・・・こんなに
純粋な朔の思いが
届くといいなとも思った。
「うん・・まあ・・・
かなり・・・
可愛かったわねえ・・。
美人・・っていうのも
あったけど・・・
醸し出す雰囲気は・・・
かなり・・・
いい感じというか・・・
お嫁さんにしたいって感じの
タイプよねえ・・・
陽和ちゃん・・・。」
そういうと朔は
「そうですよね・・。」
と複雑そうな顔をして
耳まで赤くしながら
頷いていた。
「やっぱり彼氏・・・
いますよねえ・・・陽和。」
「え?」
朔のその「弱気発言」に
中村先生は少しだけ
背中を押したくなってしまった。
「なんか,変に期待させて
違ってたらいけないなと思って
朔ちゃんにはいわないように
しようと思ってたんだけど・・・。」
「え・・・?
なんですか?」
「・・陽和ちゃん・・・
私が百戸高校に勤めてるって
言ったら,何か
言いたげだったのよ。」
「何か・・って?」
「わか・・らないわよ,
だけど・・・
朔ちゃんのこと,
気にしてたんじゃないかな?」
「え?」
だけど・・・
朔はおかしいなと思った。
確かに「高比良由宇」の
保護者であることは
美和子経由で伝わって
いるかもしれないけれど・・・
自分の勤務先までは
伝えていない。
もしかしたら古川先生経由で
そういうことが伝わって
いるのか?
それとも,俺のことを
気にして誰かに聞いてくれたのか?
朔は頭の中をぐるぐると
考えを巡らせていた。
だけど・・・どういう風に
考えても,
あまり悪い結果は出て来ない
ように思えた。
もしかしたら
陽和は・・・自分のことを
気にかけてくれて
いるかもしれない?
それは・・ただ
小学校の時の
幼馴染・・としてだけかも
しれないけれど・・・。
朔はそんな風に思って
少しだけ・・・気持ちが
前を向いた。
なぜか朔はまた
保健室に顔を出していた。
「しかし・・・
思った以上に朔ちゃんの
一途なのには・・
・・・すごいなと
感心するけど・・・
ちょっと通り越して,
呆れたわ・・・。」
「・・はは・・
やっぱ・・・
そうっすか・・ね・・。」
朔は定位置のソファで
頭を掻きながら
中村先生の方を見上げた。
「由宇ちゃん
迎えに行ったときに?」
「あ・・いや,
この間,園だよりって
学校便りみたいなやつが
あるんですけど,
それに陽和の名前が
載ってたから。」
「そっか,それで
逢いに行ったんだ?」
中村先生はそういいながら
ニヤッと笑った。
「いや,会いに行ったって
ほどじゃないですよ。
迎えのついでに・・・。」
「ついでに?
話をしたんだ?」
「いや・・・それが・・・
その・・・。」
実はまだ会話も
できていないなんて
・・・やっぱり自分の
臆病っぷりが
際立って・・恥ずかしい。
「実は・・・まだ,
会話はできてなくて。」
「え?どうして?」
「いや,忙しい・・時間帯
とか・・だったりとか・・・
して・・・
なかなか・・・
ほら向こうも勤務中だし・・・。」
「はあ?」
中村先生は呆れた様子で
朔を見た。
「あのねえ,朔ちゃん。
そんなに長い間,
恋焦がれていた人に
偶然再会したんでしょ?
こんな奇跡みたいなことは
ないのよ?
早く誘って
連絡先の交換とか
食事に誘うとかぐらい
しなさいよ!」
「や・・・や・・
で・・も・・・。」
そういって戸惑う朔に
中村先生はまた呆れた。
「あ,そういえば
先生は,どうして陽和と?」
「ああ・・
昨日駅で,偶然会ったのよ。
たぶん陽和ちゃんは
電車通勤ね。」
「あ・・なるほど。」
陽和の実家はこの街だったはず。
陽和は実家を出ているのかな。
もしかしたら・・・
恋人と一緒に・・・?
「駅でお惣菜,
選んでたからなあ・・・
たぶん・・
独り暮らしだと思うけど・・・。」
「え?まじっすか,
そうなんですか?」
朔は思った以上に
自分がそのことに食いついて
しまっていることに
ハッとした。
「・・だから・・・
そんなに気になるなら
自分で確かめなさいよ。」
「あ・・・は・・い。」
中村先生の言うことは
もっともだった。
「でも,先生
どう思います?
・・・陽和・・・
・・・あの・・・
・・・可愛くなかったですか?」
「え?」
朔が真っ赤になりながら
そういったことに
中村先生は再び呆れながら
でも・・・こんなに
純粋な朔の思いが
届くといいなとも思った。
「うん・・まあ・・・
かなり・・・
可愛かったわねえ・・。
美人・・っていうのも
あったけど・・・
醸し出す雰囲気は・・・
かなり・・・
いい感じというか・・・
お嫁さんにしたいって感じの
タイプよねえ・・・
陽和ちゃん・・・。」
そういうと朔は
「そうですよね・・。」
と複雑そうな顔をして
耳まで赤くしながら
頷いていた。
「やっぱり彼氏・・・
いますよねえ・・・陽和。」
「え?」
朔のその「弱気発言」に
中村先生は少しだけ
背中を押したくなってしまった。
「なんか,変に期待させて
違ってたらいけないなと思って
朔ちゃんにはいわないように
しようと思ってたんだけど・・・。」
「え・・・?
なんですか?」
「・・陽和ちゃん・・・
私が百戸高校に勤めてるって
言ったら,何か
言いたげだったのよ。」
「何か・・って?」
「わか・・らないわよ,
だけど・・・
朔ちゃんのこと,
気にしてたんじゃないかな?」
「え?」
だけど・・・
朔はおかしいなと思った。
確かに「高比良由宇」の
保護者であることは
美和子経由で伝わって
いるかもしれないけれど・・・
自分の勤務先までは
伝えていない。
もしかしたら古川先生経由で
そういうことが伝わって
いるのか?
それとも,俺のことを
気にして誰かに聞いてくれたのか?
朔は頭の中をぐるぐると
考えを巡らせていた。
だけど・・・どういう風に
考えても,
あまり悪い結果は出て来ない
ように思えた。
もしかしたら
陽和は・・・自分のことを
気にかけてくれて
いるかもしれない?
それは・・ただ
小学校の時の
幼馴染・・としてだけかも
しれないけれど・・・。
朔はそんな風に思って
少しだけ・・・気持ちが
前を向いた。