朔旦冬至 さくたんとうじ ~恋愛日和~
次の日も,その次の日も
陽和と朔は・・・
朝も夕方も・・・
小さく手を振り合っていた。
幼い子供のような・・・
そんな他愛もないしぐさも・・・
お互い・・とても
いとおしく思っていた。
お互いの気持ちは・・・
わからないままでも・・・。
木曜日。
今朝も,陽和は朔と目が合うと
小さく手を振っていた。
その様子を美和子が見ていた。
美和子は見間違いだろうと
思っていたけれど・・・
夕方・・・同じように
手を振りあっている二人を見て
確信した。
「古川先生・・・。」
美和子は・・・いけないものを
見てしまったような気がして
古川先生にリサーチをかけていた。
「あの・・・つかぬことを
お伺いしますが・・・
高比良由宇くんのお父さんって
シングルさんですか?」
「ああ・・・高比良さんはね
実の父親じゃないのよ。」
そういって古川先生から
朔と由宇の事情を聞いた
美和子は納得した。
「ああ,なるほど。
よかった。ちょっと
安心しました。」
「え?」
そういった美和子に今度は
古川先生が驚いて
聞き返した。
「いや,実は・・・。」
美和子は陽和と朔が手を
振り合っているのを見かけて
もし…イケナイ関係だったら
・・・と心配になったことを
古川先生に伝えた。
「なるほど・・・
それがねえ・・。」
古川先生は,朔の話を
したときの陽和の様子を
美和子に教えた。
「そうかあ・・じゃあ,あの二人
付き合ってるんですかねえ。」
「うーん・・・そうなのかもね。」
「よ~し。私,
聞いてみます!」
美和子はちょっとホッとしたことも
あって・・・
思い切って陽和に聞いてみようと
思っていた。
すみれ組に戻ると,陽和は
子どもたちの絵に名札を
つける作業をしていた。
「ん?どうしたの?」
うれしそうな顔の美和子に
陽和はニコッと笑って
問いかけた。
美和子はその表情を見て・・・
確かに・・陽和先生は
かわいいなと・・・
高比良さんが好きになるのも
よくわかるなあと思っていた。
美和子はそんな恋に
不器用そうな陽和を
ちょっとからかって
やろうと思い,こう言った。
「陽和先生,知ってます?
高比良さん,独身って?」
「あ・・ああ・・うん。
じ・・事情は・・・
ちょろっと・・・
き・・きいた・・・けど・・・。」
高比良さんという名前を聞いて
しどろもどろになる陽和は
年下の美和子から見ても
やっぱりかわいいなと思った。
「私,高比良さん,
狙ってみようと思うんですけど
陽和先生どう思われますか?」
そういわれた陽和は
びっくりした顔をして・・・
「え・・・え・・あ・・
ええ・・?
み・・美和子ちゃん・・・
あ・・・ええ・・・
・・・あ・・あの・・・
だ・・・・・だめ・・・・。」
陽和は泣きそうな顔で
顔を真っ赤にしながらそう言った。
「あははは!陽和先生
正直~。
かわいい!!」
「え?え?」
陽和はわけがわからず
混乱していた。
「なんだあ!
言ってくれたらよかったのに。」
「え?え?」
「陽和先生の彼氏なんですね,
高比良さん。」
「か・・か・・・
彼氏?
ち・・ちがうよ!!」
陽和は首を大きく振って
否定した。
「え?違うんですか?」
「・・・うん・・・。
あの・・・・
私が・・・・一方的に・・・
・・・・想っている
だけで・・・。」
「え?
そんな風に見えなかったけど・・・。」
「え・・・・?」
陽和は真っ赤になって
困惑していた。
「高比良さんの方が,
うれしそうな顔をして
陽和先生に手を振ってたから・・。」
「え・・・
そんなことないって・・・。」
「そう・・ですか?
私はてっきり・・・。」
美和子は不思議そうな顔で
陽和を見つめた。
「だって・・・あの顔見たら
二人は付き合ってるって
ふつう思いますけど・・・。」
鈍感な陽和はそれが
信じられなかった・・・。
朔ちゃん・・が・・
ホントに・・・?
「・・そうだったら・・・
いいんだけど・・・。」
「えー!陽和先生,
早くアタックすべきですよ!
絶対,高比良さん,
先生のこと好きですって。」
「・・・。」
陽和はまたもや困惑していた。
「・・・陽和先生?」
「・・はい?」
「うーん・・まあ,
高比良さんのことは
・・・わかりませんけど・・。
先生,高比良さんのこと
好きなんですよね?」
「・・・・・うん。」
陽和は・・・
そこだけは・・もう
否定できなくなっていた。
「私・・・・
先輩の陽和先生にいうのも・・
おかしいですけど・・・。
先生の仕事の仕方,
すごく尊敬しています。
ホントに教わることだらけで
私も陽和先生にみたいに
なりたいなって思います。
でも・・・
高比良さんと手を振りあっている
先生の顔は・・・
いつもの陽和先生の顔とは
ちょっと違ってて・・・
なんか・・すごく
かわいいなって思いました。
・・・と同時に・・・
先生・・恋に不器用そうだなって・・。」
「・・・・・。」
陽和は困った顔をして
美和子を見つめた。
美和子が自分の仕事ぶりをほめて
くれたのはとてもうれしい。
そんなことはないんだけど・・・
それでも,美和子がそう思って
くれたことはうれしく思った。
そして・・・
後半の部分は・・・
美和子が言ったこと・・・
すべて的中していた。
「う・・ん・・・。
ねえ・・・美和ちゃん。
今日・・・
晩御飯・・・一緒に
食べない?」
陽和は,美和子にも
聞いてほしいと思った。
あの頃,芽衣子としていた
ように・・・美和子と
飲みに行こうと思った。
陽和と朔は・・・
朝も夕方も・・・
小さく手を振り合っていた。
幼い子供のような・・・
そんな他愛もないしぐさも・・・
お互い・・とても
いとおしく思っていた。
お互いの気持ちは・・・
わからないままでも・・・。
木曜日。
今朝も,陽和は朔と目が合うと
小さく手を振っていた。
その様子を美和子が見ていた。
美和子は見間違いだろうと
思っていたけれど・・・
夕方・・・同じように
手を振りあっている二人を見て
確信した。
「古川先生・・・。」
美和子は・・・いけないものを
見てしまったような気がして
古川先生にリサーチをかけていた。
「あの・・・つかぬことを
お伺いしますが・・・
高比良由宇くんのお父さんって
シングルさんですか?」
「ああ・・・高比良さんはね
実の父親じゃないのよ。」
そういって古川先生から
朔と由宇の事情を聞いた
美和子は納得した。
「ああ,なるほど。
よかった。ちょっと
安心しました。」
「え?」
そういった美和子に今度は
古川先生が驚いて
聞き返した。
「いや,実は・・・。」
美和子は陽和と朔が手を
振り合っているのを見かけて
もし…イケナイ関係だったら
・・・と心配になったことを
古川先生に伝えた。
「なるほど・・・
それがねえ・・。」
古川先生は,朔の話を
したときの陽和の様子を
美和子に教えた。
「そうかあ・・じゃあ,あの二人
付き合ってるんですかねえ。」
「うーん・・・そうなのかもね。」
「よ~し。私,
聞いてみます!」
美和子はちょっとホッとしたことも
あって・・・
思い切って陽和に聞いてみようと
思っていた。
すみれ組に戻ると,陽和は
子どもたちの絵に名札を
つける作業をしていた。
「ん?どうしたの?」
うれしそうな顔の美和子に
陽和はニコッと笑って
問いかけた。
美和子はその表情を見て・・・
確かに・・陽和先生は
かわいいなと・・・
高比良さんが好きになるのも
よくわかるなあと思っていた。
美和子はそんな恋に
不器用そうな陽和を
ちょっとからかって
やろうと思い,こう言った。
「陽和先生,知ってます?
高比良さん,独身って?」
「あ・・ああ・・うん。
じ・・事情は・・・
ちょろっと・・・
き・・きいた・・・けど・・・。」
高比良さんという名前を聞いて
しどろもどろになる陽和は
年下の美和子から見ても
やっぱりかわいいなと思った。
「私,高比良さん,
狙ってみようと思うんですけど
陽和先生どう思われますか?」
そういわれた陽和は
びっくりした顔をして・・・
「え・・・え・・あ・・
ええ・・?
み・・美和子ちゃん・・・
あ・・・ええ・・・
・・・あ・・あの・・・
だ・・・・・だめ・・・・。」
陽和は泣きそうな顔で
顔を真っ赤にしながらそう言った。
「あははは!陽和先生
正直~。
かわいい!!」
「え?え?」
陽和はわけがわからず
混乱していた。
「なんだあ!
言ってくれたらよかったのに。」
「え?え?」
「陽和先生の彼氏なんですね,
高比良さん。」
「か・・か・・・
彼氏?
ち・・ちがうよ!!」
陽和は首を大きく振って
否定した。
「え?違うんですか?」
「・・・うん・・・。
あの・・・・
私が・・・・一方的に・・・
・・・・想っている
だけで・・・。」
「え?
そんな風に見えなかったけど・・・。」
「え・・・・?」
陽和は真っ赤になって
困惑していた。
「高比良さんの方が,
うれしそうな顔をして
陽和先生に手を振ってたから・・。」
「え・・・
そんなことないって・・・。」
「そう・・ですか?
私はてっきり・・・。」
美和子は不思議そうな顔で
陽和を見つめた。
「だって・・・あの顔見たら
二人は付き合ってるって
ふつう思いますけど・・・。」
鈍感な陽和はそれが
信じられなかった・・・。
朔ちゃん・・が・・
ホントに・・・?
「・・そうだったら・・・
いいんだけど・・・。」
「えー!陽和先生,
早くアタックすべきですよ!
絶対,高比良さん,
先生のこと好きですって。」
「・・・。」
陽和はまたもや困惑していた。
「・・・陽和先生?」
「・・はい?」
「うーん・・まあ,
高比良さんのことは
・・・わかりませんけど・・。
先生,高比良さんのこと
好きなんですよね?」
「・・・・・うん。」
陽和は・・・
そこだけは・・もう
否定できなくなっていた。
「私・・・・
先輩の陽和先生にいうのも・・
おかしいですけど・・・。
先生の仕事の仕方,
すごく尊敬しています。
ホントに教わることだらけで
私も陽和先生にみたいに
なりたいなって思います。
でも・・・
高比良さんと手を振りあっている
先生の顔は・・・
いつもの陽和先生の顔とは
ちょっと違ってて・・・
なんか・・すごく
かわいいなって思いました。
・・・と同時に・・・
先生・・恋に不器用そうだなって・・。」
「・・・・・。」
陽和は困った顔をして
美和子を見つめた。
美和子が自分の仕事ぶりをほめて
くれたのはとてもうれしい。
そんなことはないんだけど・・・
それでも,美和子がそう思って
くれたことはうれしく思った。
そして・・・
後半の部分は・・・
美和子が言ったこと・・・
すべて的中していた。
「う・・ん・・・。
ねえ・・・美和ちゃん。
今日・・・
晩御飯・・・一緒に
食べない?」
陽和は,美和子にも
聞いてほしいと思った。
あの頃,芽衣子としていた
ように・・・美和子と
飲みに行こうと思った。